子供に包丁を突き付ける親 「中学受験のときは両親が私の椅子の後ろに立っててね、背中に包丁を突き付けられながら勉強したんだよー」 大学時代、名門中高大一貫校に通うお嬢様女子大生から実際に聞かされた言葉だ。あんまり明るく言うものだから、私たちはみんな冗談だと思い、「怖っ」と笑い飛ばした。その場にいたのは、私も含め公立校育ちの地方出身者ばかり。塾通いをしたこともなければ身近に中学受験をする友達すらおらず、そこまで受験に入れ込む親というものを、リアルな存在として想像することができなかったのである。 2016年8月、中学受験を控えた小学生の息子を父親が包丁で刺し殺した事件の一報を耳にしたとき、真っ先に思い出したのが、冒頭に挙げた知人の話だった。中学受験生に包丁を突き付ける親は、実在していたのだ。 かつては遠い世界のお話でしかなかった中学受験は、4人に1人が私立中学に進学する東京都で小学6年生の親をや