東京在住の著者が、一日の仕事を終えて(あるいは途中で放り出して?)、都内の各所にいまだ残る銭湯を訪ねる。ゆっくりとお湯につかって一日の垢を落とし、いいアンバイに茹だったところで、今度は近所のヨサゲな居酒屋に飛び込んで、うまい肴と酒に舌鼓を打つ。そんなお愉しみを綴ったエッセイ集だ。 著者は島本慶。酒や食や風俗といった遊びを軽快に語るコラムの名手で、風俗方面の仕事では“なめだるま親方”という素敵なペンネームでも知られている。 親方の書く文章は、いわゆる昭和軽薄体の流れを汲むもので、こういうダラシナイおっさんのいい心持ちを表現するにはピッタリの文体だ。たとえば「すっきり」は「スッキシ」だし、「~ばかり」は「~ぶわぁっかり」となる。 それから擬声語を多用するのも昭和軽薄体の特徴で、パンツは「ヌギヌギ」するものだし、風呂につかれば「ブクブク」となって、ビールは「グビグビ」飲んじゃう。本当は風俗レポー