マンガ批評に本格的に関心を持ち出してまだ一年未満だが、その中で昨年読んだ評論の中ではこの本はベスト5に入る。そして同時にこの本はかなり筋ワルである。これがいまの日本のマンガ批評の現状かもしれない。たぶん今週末に出るが著者からいち早く献本いただいた。しかしこの本はいったい誰にむけて書かれているのだろうか? 彼の周囲数名程度のうけを狙ったものなのか、あるいは勘違いした官僚を喜ばせるためなのか(それはさすがにないが一読すれば喜ぶだろう)。 しかし面識もありいろいろ教えてもらってきた身ではあるので言い難いのだが、はっきりいえば、ただおかしな産業政策論の要素を中核とする一書である。なぜ著者は彼のまわりにいたであろう経済学者たちに事前に原稿などをみせて意見をもらわなかったのだろうか? 本書の中心メッセージが、産業政策必然論になっている点をみるにつけて愕然とする。 以下断続的にこの本の紹介をする。ただし