「ヤクザ(専門)ライター」として名高い、鈴木智彦さんの最新刊。潔いまでの書名のインパクトに、思わず手に取ってしもうた。 日本全国の名だたる港町・魚河岸の水産物とヤクザさんのつながり・因縁のかずかずを丹念に追ったノンフィクション。水産業と密漁の縁は切っても切れないというか、むしろ持ちつ持たれつの面も多い(あるいは多かった)という。港町の持つ、過去・現在のダークサイドをこれでもかと暴き立てていくので、海の幸の華々しい広告を見た感想が、「お得でしかもおいしそう」から、「ああ、これもひょっとして」と、微妙なものに変化してしまうことは否めない。しかも、水産物についてのグレー(ただし限りなく黒い)な考察だけではなく、港町の荒っぽさも劇画のように描いていく。私の育った町はどちらかといえば漁業よりも海運が元・地場産業だけど、ある朝ドラのブレイクまでは「怖いところ」で通っていた、という親世代の話も思い出した