フェイクニュースだとか、オルタナティヴファクトだとか、嘘とマコトの境界があいまいになりがちなこの2017年。嘘についてあらためて考えるべく、嘘の心理学を専門とする村井潤一郎先生の研究室に行ってみた! (文=川端裕人、写真=内海裕之) 日本で「嘘」を中心的な課題としている研究者は数少なく、村井さんはちょっと珍しい道を歩んでいるのかもしれない。 そもそも、村井さんはどうしてこの研究課題に足を踏み入れたのか。 お話を聞き始めた冒頭で、村井さんは「科学の限りを尽くして理解につとめることが大事。でも、同時に数値化できない大事なこともある」というような意味のことを強調した。 後者「数値化できない大切なこと」は、村井さんの研究やそのモチベーションにどんな影響を与えているのだろうか。 「ひとつのきっかけは、修士課程の時に心療内科の先生の授業を受けていたんですが、その先生が、『嘘と秘密は大切なんですよ』と言