母となった人の多くが「息子が可愛くてしょうがない」と口にする。手がかかればかかるほど、可愛いという。女性たちは息子のために、何を置いても尽くそうとする。それは恋人に対するよりも粘っこくて重たい心かもしれない。息子たちは、そんな母について、何を思っているのだろうか。そのような母に育てられた息子と、娘たちはどのように関係を作っているのだろうか。母と息子の関係が、ニッポンにおける人間関係の核を作り、社会を覆っているのではないのか。子育てを終えた社会学者が、母と息子の関係から、少子化や引きこもりや非婚化や、日本に横たわる多くの問題について考える。 母親とは自己犠牲をいとわない人であると信じられています。幼い頃からあらゆる自己犠牲の物語 を読んできた私にとっても、この言葉は崇高なものです。自分の体をおおう金箔をツバメの力を借りて貧しい人に届け、最後は朽ち果てたオスカー・ワイルドの「幸福な王子」。誰で
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