コラボのそもそものきっかけは、出身地・山形の伝統的な山形鋳物から、日本のモノづくりを活性化させる「山形工房」をはじめた奥山氏が、金属加工で名高い新潟・燕の技術力に注目し、商工会議所に打診したところから実現したもの。鉄瓶で鉄を扱った奥山氏は、銅でも作ってみたいと燕鎚起銅器の玉川堂を訪れたのだ。 ここで説明したいのが、燕鎚起銅器という技術。 鎚起とは鎚(つち)で打ち起(お)こすという意味。1枚の平らな銅板を様々な鎚で叩いて、打ち延ばしたり打ち縮めて、継ぎ目のない立体製品に作り上げる鍛金技術のことだ。 新潟・燕三条の金属加工は、和釘の製造から始まり、その後、三条の刃物や鋸、鉈の製造と、燕の銅器生産の二つの大きな流れができた。弥彦山という銅の産地が近く、精練所が作られたこともあり、燕では鎚起の技を使った銅器の生産が盛んになり、矢立や煙管、大正年間には洋食器の生産地となった。大量生産時代にはステンレ