『江戸時代の恋愛事情』(板坂則子/朝日新聞出版) いつの時代も「恋愛」は物語の人気テーマです。しかし恋愛の対象は時代によって大きく変わります。 『江戸時代の恋愛事情』(板坂則子/朝日新聞出版)は、江戸時代に人気を博した創作物から、当時の人々がどのような恋愛観を抱いていたのかを読み解きます。例えば、最近のマンガやアニメで女性に人気のBLですが、江戸時代にも男色(同性愛)が大流行していて、しかもその読者の大半は男性であったというから驚きです。 江戸時代の男女に人気だった恋愛とは、いったいどのような物語だったのでしょうか。 ■高貴な男色と卑近な女色 「男色」の文化は古くは室町時代にまで遡ります。ときには寺院で見目麗しい稚児をめぐって、高僧たちの争いまであったとか。戦国時代には武将の身の回りには常に美少年が仕えるようになり、男色は武家の嗜みとなります。江戸時代に移ると多くの書物(仮名草子)に描かれ
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