日本経済は正常化し、過剰 設備の圧縮や金融不安は過去のテーマとなった。しかし、今後直面しうるのは労働生産性の向上というより重い課題である。OECD の統計によると、2004年時点で日本の労働生産性水準は先進国の中で最下位グループにあり、先進国トップのノルウェーの約5割強、米国の約7割、ユーロ 圏の約8割程度の水準にとどまっている。労働生産性の向上はあらゆる国にとって重要だが、人口減少社会を迎える日本では、その重要性は一段と高まるものと なる。 一国全体の労働生産性(労働投入(=就業者数×労働時間)一単位あたりの実質付加価値)の向上は、個別産業の労働生産性が高まるか、あるいは労働生 産性の高い産業の比重が高まることで達成される。 だが、この見方には盲点がある。下線部を労働生産性「上昇率」の高い産業と仮定すると、長期的にみて労働生産性上昇率が最も高い産業は技術革新のスピード が速い電気機械で、