(本稿は『天気の子』のネタバレを含みます。) 『天気の子』(新海誠脚本、監督)は映像だけで観客の心を揺り動かす。花火大会のシーンはあまりの映像の美しさに泣いてしまった。 また、晴れと雨に対して観客が抱く感情が反転するという構成は何事も捉え方次第なのだというテーマを象徴していて見事だ。物語冒頭で帆高が一人だけ雨の方へ歩いて行くシーンが象徴的伏線になっていて感心した。 映画単体として見れば十分心揺さぶられたが、『君の名は。』と比較すると見劣りすることは否めない。 何が違うのか考えていたのだが、自分と主人公のシンクロ率が違うということに思い至った。『君の名は。』の瀧とのシンクロ率は100%だが、『天気の子』の帆高とは50%ぐらいなのだ。 『君の名は。』は瀧と一緒に「三葉ぁぁぁ!」と心の中で叫んでいる感じだった。『天気の子』の場合、帆高に感情移入している部分もあるのだが、いったん島に帰れば? 何な