【エルサレム前田英司】中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区における暴動への対応で、トルコが苦慮している。ウイグル族はトルコ系で大多数がイスラム教徒。かつては全面支援していたが、今回は国際的に台頭する中国との関係悪化を懸念して、出方を図りかねているからだ。トルコ国内では民族主義者らから「及び腰だ」との不満が噴出しており、政府は難しいかじ取りを迫られている。 「まるで大虐殺だ」。AP通信によると、エルドアン・トルコ首相は10日、暴動事件に厳しい見方を示した。 トルコ国内では、亡命ウイグル人の間にとどまっていた抗議行動が各地でトルコ人にも広がり、同日には首都アンカラなどで中国国旗を燃やす騒ぎも起きた。首相の発言は、こうした国内情勢に突き上げられた形だ。 一方で、対中摩擦を懸念する外務省は声明を発表し、トルコと中国の両国関係の重要性を強調。政府の見解は「両にらみ」を余儀なくされている。 トルコ国内