こんなに日本を誉めていて大丈夫か? 愛国心は批判と不可分 三島憲一 大阪大学名誉教授(ドイツ哲学、現代ドイツ政治) 愛国心を喚起する教育、故郷の山河を愛する教育を叫ぶ声が高い。 それに日本礼賛の新聞記事や書籍も氾濫している。温泉や海や山や谷。日本の味覚、日本人のやさしさ、治安のよさ、交通の便利さ……。 でもこんなに手前味噌で誉めても大丈夫だろうか? 手前味噌で行くと、簡便でおいしい食事が低賃金労働に支えられて手に入るコンビニも、絶望的低賃金にもかかわらず笑顔を絶やさない介護福祉の現場の方々も、その施設の所有者の巨大な収入も、コンクリートで固めた河も、駅前広場の空を縦横無尽に横切る電線も、2時間に1本しかない地方の鉄道も、地方と言えば地方都市のシャッター通りも、そのどれもが日本の、日本人の柔軟性と我慢強さのいいところなのだろう。 原発難民に援助をケチるのも、本人たちの自立を考えた当局の思いや