中国人のヒーローが、華麗な剣さばきで日本人ののどを切り裂き、指を切り落とす。空手を使えば、相手は血しぶきを上げながら、真っ二つになって崩れ落ちる――。 そんな残酷とも荒唐無稽とも言える映像が日本人の間で物議を醸しているのが、中国でさかんに放映されている「抗日ドラマ」である。 この抗日ドラマ、戦時中に中国人に対して残虐な行為を行ったとされる日本の軍人が悪役として登場し、正義の味方の中国人が彼らをやっつけるという勧善懲悪的なストーリーが、中国で大いにウケていると言われる。そうした報道もあり、尖閣問題で日中関係が険悪化している昨今、中国人の反日感情を象徴する社会現象の1つと見る日本人も多い。 反日の象徴と言えば、筆者にも確かに思い当たるフシはある。取材で中国と日本を往復していて感じることの1つは、毎年夏になると中国で「抗日ドラマ」の放送時間が長くなるような気がすることだ。といっても、放送時間の増