2012.10.11 書評 科学技術系大学の最高峰MITが公開する 「感動する物理学」の授業 文: 東江 一紀 (翻訳者) 『これが物理学だ!マサチューセッツ工科大学「感動」講義』(ウォルター・ルーウィン著 東江一紀訳) ウォルター・ルーウィン、76歳(2012年現在)。マサチューセッツ工科大学(MIT)物理学科教授。おそらく今、世界でいちばん人気のある大学教授だろう。教壇のスーパーヒーローと呼ぶ人もいる。《ニューヨーク・タイムズ》から進呈された称号はWebスター。インターネット公開授業の嚆矢となったMITオープンコースウエアで、一躍全世界の注目を集めたからだ。 訳者もじつは、本書の翻訳を引き受ける直前に、ウェブで偶然、この人の授業のようすを目にして、「おおっ!」と引き込まれてしまった。それは、本書第3講にある「人間振り子」の実演だったのだけれど、要するに、錘(おもり)の重量にかかわらず振