愛か義務感か 2000年8月の米大統領選キャンペーン中に、民主党全国大会のステージ上で熱烈なキスを交わすゴア夫妻 Sam Mircovich-Reuters 彼らは最初から不可解な夫婦だった。政治肌とノンポリ、純粋な野心家とのんびり派、勉強家タイプとバンドのドラマータイプ――どこをとっても正反対。そんな2人が10代で恋に落ち、以来お互いの間の溝を埋めようと努力してきた。そして40年後、失敗に終わった。 私はアル・ゴア元米副大統領を80年代初頭から見てきたし、妻のティッパーも(夫ほどではないが)知っている。彼らはいつでも、若かりし日の情熱の余韻だけでつながっている奇妙で不安定な夫婦に見えた。 上流家系に生まれ、民主党上院議員の父親を持つゴアは、学生時代からワシントンの一流ホテルに住み、名門私立校の聖オルバンズ校に通っていた。一方のティッパーは根っからの地方人間。バージニア州アーリントンの裕福