久保利英明弁護士(日比谷パーク法律事務所代表)は、企業のガバナンス問題やコンプライアンス問題で警鐘を鳴らしてきたビジネス弁護士の大御所。その久保利氏が、福島第1原子力発電所の事故によって強制避難や農蓄産物に大きな損害を受けた生産者・流通業者側の代理人となった。 なぜ企業を守る側のプロが東京電力相手の代理人になったのか。今回の原発事故について緊急出版した『想定外シナリオと危機管理――東電会見の失敗と教訓』(商事法務)についても話を聞いた。(聞き手は、黒沢正俊=出版局主任編集委員) ―― 福島第1原子力発電所の事故を受け、本を緊急出版されました。その理由は何ですか。 久保利:福島原発の事故について新聞・雑誌を丹念に調べた結果、恐ろしいことが2つ分かった。1つは原子力発電所というのは思っていた以上はるかに恐ろしいということ。もう1つは東京電力がまともな会社だと思っていたけど、全然まともじゃなかっ
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