タグ

ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (14)

  • 化石を食べる生物が深海で見つかる、北極海の海綿、前代未聞

    すでに死んでいるか死にかけているカイメンが白い細菌に覆われ、そこにヒトデが群がっている。北極海の海山で多数のカイメンが発見され、科学者たちを驚かせた。(PHOTOGRAPH COURTESY OF ALFRED WEGENER INSTITUTE / PS101 OFOBS TEAM) 氷に覆われた北極海の真ん中の海底で、べ物を見つけるのは難しい。場所によっては水深4000メートルを超える海底のサンプルを採取すると、肉眼で確認できる生物がほとんど、あるいは全くいない泥ばかりだ。 ところが、2011年、そんなサンプルに珍しいものが含まれていた。最初にそれを見た学生は「シロクマ!」と声を上げた。 白い毛皮に見えたものの正体はカイメン(海綿)の一部で、衝撃的だったとドイツ、アルフレッド・ウェゲナー研究所の海洋生物学者アンティエ・ボエティウス氏は振り返る。「このエリアにいるカイメンの数は、おそら

    化石を食べる生物が深海で見つかる、北極海の海綿、前代未聞
  • 新型コロナの臓器損傷、世界最高輝度のX線が明らかに

    欧州シンクロトロン放射光研究所(ESRF)の科学者ポール・タフォロー氏が参加する国際プロジェクト「ヒト臓器アトラス」は、階層的位相コントラスト断層撮影法(HiP-CT)を使って新型コロナウイルスによる死者の脳などの臓器をスキャンした。HiP-CTスキャンは、臓器の全体像からズームインして、関心のある領域の細胞まで見せてくれる。(PHOTOGRAPH BY LUCA LOCATELLI) 階層的位相コントラスト断層撮影法(HiP-CT)という強力なX線スキャン技術によって、人体の最も微細な毛細血管や、個別の細胞のレベルまで拡大した画像が撮影できるようになった。この新技術は、30人以上の科学者による国際チームが生み出した。 HiP-CTはすでに、新型コロナウイルスが血管や肺にどのような損傷を与えるかについて、新たな見方を提供している。研究者たちは、この撮影法に大きな可能性を見出しており、病気や

    新型コロナの臓器損傷、世界最高輝度のX線が明らかに
  • 謎の「串刺し人骨」、500年前のペルーで量産された理由

    ペルーのチンチャ渓谷で発見された串刺しの脊椎。作られた目的を解明するため、200組近くもある遺物が初めて体系的に分析された。(PHOTOGRAPH BY C. O'SHEA) ペルーの渓谷で見つかった、およそ200組もの「串刺しの人骨」。謎めいたこの遺物を初めて体系的に分析したところ、約500年前の先住民たちが、スペイン統治下で荒らされた墓地を再建するために作ったものであるらしいことが判明した。研究成果は、2月2日付けで学術誌「Antiquity」に発表された。 串刺しの人骨が発見されたのは、ペルーの首都リマから南に約200キロの海岸地域に位置するチンチャ渓谷。ここは西暦900年頃からインカ帝国の一部となる1480年頃まで、チンチャ王国の中心地だった。串刺しになっているのは人間の脊椎(背骨)で、「チュルパ」と呼ばれる古代の墓から出土した。 串刺しの脊椎は地元の農民たちの間では古くから知られ

    謎の「串刺し人骨」、500年前のペルーで量産された理由
  • 2050年にはコーヒーの栽培に適した土地が激減、気候変動で

    ある年の11月、インドネシアでアラビカ種のコーヒー豆を収穫する生産者。コーヒー、カシューナッツ、アボカドなどの人気品の多くは南半球の小規模農家で生産されている。最近の研究で、こうした品の生産に気候変動が及ぼす影響が明らかになった。 (PHOTOGRAPH BY CHAIDEER MAHYUDDIN, AFP VIA GETTY) 2050年には、世界の農業地図は今とは一変しているかもしれない。 世界の人口が現在の約80億人から2050年には約100億人まで増える分、料生産を増やす必要がある。気候変動の影響で、料の調達先も変わっているはずだ。現時点でも、温暖化の影響で、熱帯の物がかなり北の地域で生産されるようになっている。例えば、米国ジョージア州で柑橘類が、イタリアのシチリア島でアボカドが栽培されている。いずれも現在の気候区分ではまだ温帯だ。 「パソコンで『気候変動』という単語と、

    2050年にはコーヒーの栽培に適した土地が激減、気候変動で
  • 世界最小のカタツムリを発見、なんと砂粒大

    ボールペンのペン先と、ベトナム北部の洞窟内で発見された世界最小のカタツムリ「アングストピラ・プサミオン(Angustopila psammion)」。(PHOTOGRAPH BY BARNA PÁLL-GERGELY) 砂粒ほどの大きさの、地球で最も小さいカタツムリの新種が2種見つかった。 「これほど小さな陸生貝が見つかるとは、当に意外でした」と驚くのは、スイス、ベルン自然史博物館の研究員で、ドイツ、ゼンケンベルク研究所にも所属しているアドリエンヌ・ヨッフム氏だ。 新記録を打ち立てたカタツムリの小ささは、その学名「アングストピラ・プサミオン(Angustopila psammion)」に現れている。「プサミオン」は、「砂粒」を意味する古典ギリシャ語に由来する。1月5日付けで動物学の専門誌「Contributions to Zoology」に発表された論文によると、殻の直径がわずか0.6m

    世界最小のカタツムリを発見、なんと砂粒大
  • 火星で「地球では生物にしか作れない」炭素の比率が見つかる

    キュリオシティが岩石サンプルを採取した火星のゲール・クレーター。(NASA/CALTECH-JPL/MSSS) 地球以外の生命を探す科学者たちにとって、火星はますます目が離せない場所になっている。このたび、ゲール・クレーターで活動しているNASAの探査車「キュリオシティ」が、地球であれば生命の証拠とみなされる炭素を含む岩石を発見したという研究結果が発表された。 1月25日付けで学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された論文によると、キュリオシティが複数の岩石サンプルを分析したところ、中に含まれていた炭素の同位体比が極端に偏っていたのだ。 同位体とは、同じ原子でも原子核に含まれる中性子の数が異なるものをさす。地球の生物は、代謝や光合成を行う際に、中性子数の少ない方、つまり軽い方の炭素を好んで利用する。そのため、軽い炭素の比率が重い炭素よりもはるかに高くなる。 ゲール・クレーター

    火星で「地球では生物にしか作れない」炭素の比率が見つかる
  • 世界遺産の森を破壊する国境の壁、ポーランドが建設開始

    ポーランドとベラルーシの国境で、高さが少なくとも5メートルある壁の建設が開始された。新たな壁は国境の半分近くの長さになる。2022年1月27日に撮影されたこの写真の有刺鉄線はそれほどの長さはなく、壁と入れ替わりに撤去される。(PHOTOGRAPH BY WOJTEK RADWANSKI, AFP VIA GETTY IMAGES) 東欧、ポーランドとベラルーシの国境には、森林や峡谷、湿地など豊かな自然が広がっている。しかし、のどかだったこの場所は、今では武装地帯となっている。ベラルーシから不法に流入する中東系移民を遮るため、ポーランド政府が国境に巨大な壁の建設を開始しているからだ。 人権団体や自然保護団体はこの動きを非難している。ポーランド国境警備隊によると、壁の高さは5.5メートルで、東側の国境沿いに全長186キロにわたって設置される予定だ。壁は脆弱な生態系の中を突っ切るように作られ、そ

    世界遺産の森を破壊する国境の壁、ポーランドが建設開始
  • 第109回 「朝立ち」の科学

    男であれば友人らと「朝からビンビンだぜ」の類いの話を一度や二度はしたことがあるだろう。師走で忙しい時期に下世話な話で恐縮だが、今回はビンビンと睡眠の深い関係についての科学的なお話なのでお付き合いいただければ幸いである。 睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠に分けられる(第16回「「夢はレム睡眠のときに見る」のウソ」 参照)。俗に、「ノンレム睡眠は脳の休息、レム睡眠は体の休息」のためにあるなどと言われるが、これは睡眠の役割を単純化しすぎである。カラムでもこれまで何度も取り上げてきたように、睡眠とは単に体を横たえて休んでいる静の状態ではなく、記憶の固定、細胞の修復、免疫調節など生体内の各所で固有の活動が活発に、かつ同時並行で行われている。 大脳皮質が発達した霊長類や人間では深いノンレム睡眠が長いのが特徴で、睡眠中でもとりわけ深いノンレム睡眠中には脳活動が全般的に不活発になり、脳血流量や代謝量も低下す

    第109回 「朝立ち」の科学
  • 飼い主の感情は犬に「伝染」する、どうやって?

    米ウェストバージニア州ブーン郡の少女と飼い犬。(PHOTOGRAPH BY STACY KRANITZ) イヌを飼っている人たちは「うちの子は人間の気持ちを察するのが得意だと感じることがある」という。これは愛犬家の妄想とは言えないようだ。最近の数々の研究で、イヌは人間が発する態度や化学物質の手がかりから飼い主の恐怖、興奮、怒りを識別できること、またそうした感情が彼らに「うつる」ことがわかってきたからだ。 幼児は、親の姿から手がかりを得て、人間や自分の周囲の世界に対してどのように反応すべきかを学ぶ。イヌも同じで、飼い主を見ることで同様のサインを受け取る。飼い主が穏やかで自信に満ちた感情を発しているとき、イヌは周囲の環境を安全で安心なものと見なす傾向にある。 「イヌは驚くほど社会的な動物であり、人間の温かさや喜びにすぐに影響を受けます」と米アリゾナ州立大学の心理学教授で、イヌ科学共同研究室の責

    飼い主の感情は犬に「伝染」する、どうやって?
  • 人間の脳は筋肉の退化と引き換えに進化

    枝にぶら下がるチンパンジー。ヒトに比べて脳は未発達だが、筋力は勝る。 PHOTOGRAPH BY MICHAEL POLIZA / NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE 人は誰も、どうしようもなく弱い存在なのかもしれない。 代謝をテーマにした最新の研究によれば、チンパンジーやサルと異なり、人類は貧弱な筋肉組織と引き替えに大きな脳を手に入れた可能性が高いという。 公共科学図書館(PLOS)の生物学者のローランド・ロバーツ(Roland Roberts)氏は結論として、「驚異的な認知能力を維持するためには高い基礎代謝率が必要だ。ひ弱な筋肉はその代償と考えられる」と述べている。 専門家は、現生人類とチンパンジーなど類人猿との大きな違いは、現生人類だけがエネルギーを多消費する不相応な脳を持っていることだと指摘している。約600万年前、初期人類の祖先が類人猿に似た祖先から分化を始

    人間の脳は筋肉の退化と引き換えに進化
  • コンゴのエボラついに終息へ、決め手はワクチン接種

    2019年、コンゴ民主共和国(DRC)北東部の街ベニ。保健スタッフが救急車にカクレ・カベンディブワくん(14)を運ぶ。この前日、姉妹がカクレくんを近くの保健センターに連れて行ったが、治療センターに行くことを勧められると、逃げ出してしまった。保健センターから連絡を受けた世界保健機関(WHO)が家族を発見。家族は地域の啓発担当者と何時間も話し合った末、カクレくんを救急車で搬送することに同意した。(PHOTOGRAPH BY NICHOLE SOBECKI) 世界は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の話題でもちきりだが、史上2番目に大規模なエボラウイルス病(エボラ出血熱)のアウトブレイク(集団感染)がついに終息するかもしれない。 コンゴ民主共和国(DRC)のキブ地域で、大流行へとつながるエボラウイルス病の最初の症例が報告されたのは2018年8月だった。以後、これまでに約3450の症例と

    コンゴのエボラついに終息へ、決め手はワクチン接種
  • 性感染症がコロナ禍でより広まった可能性、どういうこと?

    淋病の原因となる淋菌を、走査電子顕微鏡で撮影し、着色した画像。(NATIONAL INSTITUTE OF ALLERGY AND INFECTIOUS DISEASES, NATIONAL INSTITUTES OF HEALTH) 新型コロナウイルス感染症が流行した2020年は、人と会う機会が減ったために、性感染症も減少したのではないかと思うかもしれない。しかし米国では、逆に性感染症が増えている可能性があると専門家たちが警戒を強めている。 最も懸念されている点は、パンデミック(世界的大流行)の影響で、クラミジアや淋病、梅毒などの性感染症の検査が過去2年間、後回しにされてきたことだ。こうした感染症の抑制には、検査が重要な役割を担う。クラミジアや淋病は、感染してしばらくは何の症状もないためだ。(参考記事:「抗生物質が効かない「スーパー淋病」英国で感染例」) 米疾病対策センター(CDC)のデ

    性感染症がコロナ禍でより広まった可能性、どういうこと?
  • 2050年にはコーヒーの栽培に適した土地が激減、気候変動で

    ある年の11月、インドネシアでアラビカ種のコーヒー豆を収穫する生産者。コーヒー、カシューナッツ、アボカドなどの人気品の多くは南半球の小規模農家で生産されている。最近の研究で、こうした品の生産に気候変動が及ぼす影響が明らかになった。 (PHOTOGRAPH BY CHAIDEER MAHYUDDIN, AFP VIA GETTY) 2050年には、世界の農業地図は今とは一変しているかもしれない。 世界の人口が現在の約80億人から2050年には約100億人まで増える分、料生産を増やす必要がある。気候変動の影響で、料の調達先も変わっているはずだ。現時点でも、温暖化の影響で、熱帯の物がかなり北の地域で生産されるようになっている。例えば、米国ジョージア州で柑橘類が、イタリアのシチリア島でアボカドが栽培されている。いずれも現在の気候区分ではまだ温帯だ。 「パソコンで『気候変動』という単語と、

    2050年にはコーヒーの栽培に適した土地が激減、気候変動で
  • オミクロン株はなぜ感染しやすく、重症化しにくいのか、最新研究

    2021年1月6日、カナダのアルバータ州エドモントンで、新型コロナウイルスの迅速抗原検査のために綿棒で検体を採取する女性。オミクロン株では鼻腔ではなく咽頭をぬぐうよう勧める投稿が米国のSNS上で増えているが、抗原検査の使い方は変わるのだろうか。(PHOTOGRAPH BY ARTUR WIDAK, NURPHOTO VIA GETTY IMAGES) もし今、米国で新型コロナウイルスに感染した場合、それはオミクロン株である可能性が高い。米疾病対策センター(CDC)によると、1月8日までの1週間に米国内で遺伝子解析された症例の98%以上がオミクロン株によるものだった。 元のウイルスと比べて変異の多いオミクロン株は、これまでの主流だったデルタ株とは大きく異なるため、過去2年間で身につけたリスク管理のやり方を部分的に変える必要があるかもしれない。 オミクロン株は感染力が強くなっているだけでなく、

    オミクロン株はなぜ感染しやすく、重症化しにくいのか、最新研究
  • 1