「戦略の本質は、他社との違いを作って、その違いを意味につなげるストーリー(因果論理)を構築することだ。ただし、これにはセンス(芸術的才能)が必要だ。センスは磨くことはできるが、スキル(担当業務の遂行能力)と違って育成することはできないので、センスの無い人に戦略の構築を任せてはいけない」---。 著書『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件』(東洋経済新報社)で知られる一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、NTTデータが2012年1月27日に開催したITカンファレンス「NTT DATA Innovation Conference 2012」の基調講演に登壇し、企業が競争優位性を構築するために必要な「ストーリー」について解説した。 冒頭で楠木氏は、企業経営に関する自身の研究が「机上の空論」と言われている状況についての見解として、「そもそも商売は理屈が20%で、残りの80%は