取り壊される前の旧満鉄奉天図書館=08年4月、中国・瀋陽、樫山晃生撮影 【瀋陽=古谷浩一】戦前、日本が中国東北地方に設立した鉄道会社、南満州鉄道(満鉄)の満鉄奉天図書館の建物がこのほど、商業開発を理由に取り壊された。スペイン風建築として当時の日本人の間で広く知られ、戦後も保護建築物に指定されていた建物。日中双方の関係者らから惜しむ声が出ている。 建物は1921年、当時の奉天駅(現在の瀋陽駅、中国遼寧省)近くに満鉄職員や在住日本人らのために建てられた。戦後は瀋陽鉄路局の図書館などに使われ、04年に移動禁止の保護建築物に指定されていた。 ところが、香港系企業が商業施設を建てる計画を打ち出し、06年に土地の使用権を購入。当局は市内の別の場所にイメージを再現した建物を新築することを条件に、取り壊しを許可した。中国では建物を何らかの形で復元させれば、移築でなくても保護措置をとったと見なす考えが