『日経ビジネス』9月17日号の「時事深層」に「企業に広がる『SNS疲れ』」と題した記事を書いた。facebookやmixi、ツイッターなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を企業が活用する上での「炎上」リスクと、そのリスクを危惧する企業が抱える「疲労感」を書いたものだ。 これを書きながら、学生時代に読んだ1冊の本を思い起こした。ミッシェル・フーコーの『監獄の誕生―監視と処罰』(1975年)。コレージュ・ド・フランスの教授だったフーコーは、この本の中で、中世以降の監獄と処罰の「近代化」の歴史を紐解きながら、そこに生まれた権力作用を巧みに浮かび上がらせていく。 この本で象徴的に紹介されているのが、英国の哲学者・経済学者ジェレミー・ベンサム(1748年-1832年)が創案したとされる「パノプティコン(一望監視装置)」だ。 中心部に監視塔があり、その監視塔を取り囲むように放射状に独