かつて、ごく短い期間ではあるが親密な間柄であった女性から、「妖精の声が聞こえる」という告白を受けたことがある。最初は冗談だと思って聞き流していたが、当人は至って真剣で「声どころか姿が見えることもある」と、何かが張り付いたような表情で語り始めたので、何やら怖くなって話をそこで打ち切ってしまった。その後、徐々にその女性とは疎遠になり、結局は関わりを持たなくなった。彼女との関係がなくなった原因は、長い間、その話をしていた時の彼女への恐怖心にあると思っていた。耳元で聞こえてくる彼女の声や、妖精の姿について語っている時のどこかおぼつかない表情、まるで限りなく深く吸い込まれそうな孔(あな)のような暗く光る両目。ただ、それなりに時間が経過した今、過去の出来事としてそれを思い出してみると、彼女の表情がそこまで異常であったのかどうかの確信が持てない。はたして彼女の眼差しが本当に病的だったのか。あるいは、その
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