北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の訪中に、後継者の三男、金正恩(キム・ジョンウン)氏は同行していなかった。権力継承作業の速度が上がらない背景には、若い指導者への不安や、金総書記自身の求心力低下への懸念がありそうだ。 朝鮮中央通信によると27日、中国から特別列車で帰国した金総書記を正恩氏が国境で出迎えた。北朝鮮関係筋は「今回の訪中の最大の目的は、苦境に立つ金正日体制の維持」と語る。朝鮮中央通信も後継問題関連では、中朝首脳会談での「朝中友好は世代が交代しても変わらない」との金総書記の言葉を紹介した程度だ。 正恩氏は昨年9月、朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長に就任。金総書記の健康不安などから、早期に訪中するとの見方が強まっていたが、外交筋は「権力継承作業の速度が落ちたのは間違いない」と語る。