どうやら一人暮らしの女子大生の部屋らしいと推測される、しかしだれの部屋なのかはとんとわからぬワンルームマンションの一室で、私は「カッティカ・フルティーカ職人」のおじさんと向きあって床に正座している。小柄で背広姿のおとなしそうなおじさんは、かたわらのローテーブルにタッパーのような箱を載せた。プラスティックでできており、蓋は白、本体部分は透明だ。 「わたくしどもカッティカ・フルティーカ職人は、この、フィンランド製のカッティカ・フルティーカを使って作業にあたります」 おじさんは鞄から取り出した洋梨らしき果物を、カッティカ・フルティーカの蓋部分に猛然とこすりつけはじめた。白い果肉が薄くスライスされ、カッティカ・フルティーカの内部に溜まっていくのが見える。 それ、テレビの通販番組とかでよく見かける道具……! 「職人技じゃあ全然ない!」 と、大爆笑したところで目が覚めた。 どうして夢のなかだと、我慢す
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く