「タイではパクチーなんて食べないんだろ?」 「んー食べませんね」 俺の上司と、タイでの半年駐在から帰国したばかりの後輩の会話だ。 「パクチーなんて飾りみたいなものなんだろ?」 「ええまあそうですね」 「パクチー大盛りブームなんて頭おかしいって思われるよな?」 「タイ人は驚くでしょうね」 「パクチーパクチー言ってる日本人バカミタイだな?」 「ですね、ハハハハ」 「笑いものだよな、ハハハハ」 社食で、上司はどんどん声を大きくしていった。 同じテーブルにいる俺に聞かせるかのように。 俺はその会話を聞いて(聞かされて)上司の「底意地の悪さ」を感じた。 何故なら・・・ 俺の女友達がパクチー好きで、 パクチー料理専門店へしばしば一緒に出掛けるとその上司に話したことがあるからだ。 先月か先々月だったと思う。 意外と旨いんですよなんて喋った記憶もある。 俺は思う。 タイ人にとってのパクチーと、俺らにとって