決勝戦6回裏が終わった時の安楽と上甲監督。監督から労いの言葉をかけられるも、流れる涙を抑えきれなかった安楽。 決勝戦の5回終了後のことだった。 済美(愛媛)の上甲正典監督は、エースの安楽智大に続投の意思を尋ねた。5回裏に一気に7失点。3連投の疲れからストレートが走らず、心身ともに疲弊しきっている様子がうかがえたからだった。 だが、エースはかぶりを振った。 そして6回裏、安楽は続投し2点を失う。普段ならベースカバーを怠らないはずの男が、それすらも忘れてしまっていたことは彼の限界を表していた。女房役の捕手・金子昂平が言う。 「5回はミスもあったし、安楽の集中力が切れていました。(大会を通じて)僕たちがもっと助けてあげなければいけなかった。本当に疲れていたと思います。3回戦の済々黌(熊本)戦から本来の安楽ではなかったです」 2年生エースは7回から一塁の守備に回り、8回にはベンチに退いた。 安楽の