烏蛇さん(id:crowserpent)と競作する予定の小説の冒頭です。実在の人物、団体、敷居さん(id:sikii_j)及びCさん(id:hajic)とは一切関係がありません。 1.凍った瞳 クリスマスを三日後に、新年を十日後に控えたその日、京都はいつにも増して冷たい空気に包まれていた。もともと、冬は凍てつく都市ではある。しかし、例年と比べても、その日の冷え込みは尋常ではなかった。 昼間、燦々と日が差していた頃は、まだ空気もほのかに熱を孕んでいたのだが、夕刻、昏い空に群雲が忍び寄り、うそのように真白い雪を降らせはじめると、気温は一気に氷点下にまで下がり、染み付くような冷気が道往く人々の足を急がせた。 この時期、雪が街を染めつくすことはめったにないが、今日は例外になるかもしれない、そう天気予報も告げていた。 敷居住人(しきい すみひと)は、その凍りついた夜の街を、急ぐでもなく、寒がるでもな