** 時代が締め出すこころ 精神科外来から見えること 青木省三 ** 著者の青木省三氏は、雑誌『こころの科学』(日本評論社)の監修者として、お名前は知っていました。著書を読ませていただくのは、おそらく初めてではないかと思います。 精神科医として仕事を始めてから30年あまりなのだそうです。あとがきにありました。 この30年、日本の経済は高度成長期からバブル期へ、そして、長い低成長期へと変化し、家族のありかたは、大家族から核家族へそして単身世帯の増加へと変化し、労働環境は年功序列から成果主義へと変化した、と、書いておられます。確かにその通り、私たちはそのような時代を生きてきました。 それらの変化が日本人のありかたに影響していることを診察室で感じつつ、精神科医として、それにどう関わっていきたいかということを、率直につづっておられます。 うつ病やパーソナリティ障害、統合失調症などと時代の関係につ