『物理数学の直観的方法』と言う本がある。初版は1987年10月5日に出されているが、普及版が2011年9月20日に出されていたので、紹介してみたい。 著者は現在は研究者ではないようだが、理論物理を専攻していた人物で、物理学者などを含めて多くの人が本書を高く評価している。社会科学、特に経済学は物理学の数学部分を模範としており、文系が読んでも得るものが多いはずだ。 1. 文系にも関連する内容 本書で取り上げている分野は幅広いが、文系にも関係があるものが多い。第1章線積分、面積分、全微分、第2章テーラー展開、第3章行列式と固有値、第6章のε-δ論法と位相空間は多くの文系学生が学ぶものだ。他の章、第7章フーリエ級数・フーリエ変換はBS式の関係でファイナンス理論の人には親しみがあるであろうし、第10章解析力学は経済学のマクロ動学理論の人には必須だ。ただし厳密な説明や練習問題は一切無いので、テキストを