2012年10月08日19:05 カテゴリテクニカル 「空気」の支配から法の支配へ 先週の記事の続き:「空気」を共有知識と理解すると、それは日本人に固有のものではない。グライフの有名な業績で知られるように、中世のマグレブ商人なども互いの評判を共有する「空気」によって取引の安全性を担保していた。ただ、これは特殊な条件のもとでのみ有効で、マグレブ商人の取引関係も血縁のみで成り立っていたわけではない。 もう少し一般的なメカニズムとして、ヨーロッパで中世に広く行なわれていたのがcommunity responsibility system(CRS)と呼ばれるものだ。これはグラミン銀行のように、債務不履行の責任を「隣組」に負わせるしくみで、多くの発展途上国にみられる。日本の無尽や頼母子講もこれに似たしくみだった。CRSを成立させる条件は、こうしたマイクロファイナンスの経験でよくわかっている。互いによ