■生きる喜び増進させる家族 金太郎は主人公の名前じゃない。副題「伊達家の人々」のほうが内容を端的に示している。 飄々(ひょうひょう)としながら頑固な父、天真爛漫(らんまん)な母、勝ち気だがちょっと抜けてる姉、一本気な弟という、どこにでもありそうな家族の歴史を描いた連作集。どのエピソードも機知と滋味に富み、人生の哀歓を浮き彫りにする。 なかでも、父のライフステージとメガネ遍歴を重ね合わせた「フレーム問題」は圧巻だ。少年時代の回想から始まり、のちの妻との交際&プロポーズ、結婚して子供が生まれ孫もでき、老いて妻に先立たれ、さらに本人の死後、曽孫の代までを、わずか18ページで描き切る。これぞマンガのダイナミズム! 夫婦愛と女同士の友情を交差させた「白線、ビール、甘口カレー」、母の手術を翌日に控えた家族の姿を追う「前夜」も秀逸だ。 目力の強い存在感あるキャラクター、よけいな説明はしないテンポのよいコ
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