4月1日を前にして、本の総額表示問題がいよいよ具体化してきている。小社も新刊の表示をどのようにすべきか、参考のために書店の棚を覗いてみた。 いくつかの、わたしにとっては小さくない発見があって、少なからず驚いた。 まず、棚にある本のほとんど全部が奥付に定価表示をしていない。小社は開業以来25年間ずっと奥付定価表示を続けてきている。最近は少数派になっているのを知っていたが、これほどまでとは思わなかった。書店の棚で一番多いのは、「定価はカバーに表示してあります」と記載されているケースだが、まったく何も定価について奥付でのコメントのない本がけっこう多いのにも、びっくりした。これらはカバーを取ってしまえば、いくらで売ろうと勝手、ということでもある。ほんとにそれでいいのだろうか。 再販制度をめぐる議論はすでに数十年続いてきているが、その場合の大前提として、本の定価は版元が決めるものという合意があったし