田辺さんは自転車に乗ってさっそうと現れた=東京都江戸川区のJR平井駅前公演のチラシは田辺さんも満足の出来栄え この人に年齢は関係ない。張り扇をパパンと何度も打ち鳴らす独特のスタイル。講談界の大御所、田辺一鶴(いっかく)さんである。名前は知らなくても、立派なひげを見れば「ああ、あの人」と思い出す人も多いだろう。ひげは真っ白になったが、いまも現役。80歳となる来月には記念公演を地元下町で開く。一緒にテレビをにぎわせた同世代の仲間は少なくなったが、老いてますます意気盛んである。 「名前はイッカクでも、やっていることは多角的。後期高齢者どころか『光輝』高齢者なんですよ」 「これからが本当の講談師人生の始まり。90歳を迎えたあたりで私の評価が決まるとプラス思考でやっています」 自慢のひげをふるわせながら田辺さんは実にエネルギッシュに話す。 29年2月9日、現在の豊島区駒込で生まれた。子ども