「日本国の研究」は猪瀬直樹を編集長として近代化150年の視座から現代の日本的システムを 読み解き、この国の向かうべきヴィジョンを明らかにするという編集方針のもと、毎週一回木曜日 に配信しているメールマガジンです。若手の識者や現場のエコノミスト・官僚・ジャーナリストによる 執筆や対談など、知的スリルにみちたコンテンツ満載でお届けしております。 明治維新のころの日本は貧しかった。その貧しい国民の仕送りが税金というかたちでいったん大蔵省に掻き集められ、 優先順位をつけて重点的に振り分けられて八幡製鉄所をつくったりした。近代化の礎を築くために国民は進んで我慢したのである。 司馬遼太郎の『この国のかたち』はじつにうまいタイトルで、光のあて方や角度によって日本という国がさまざまに異なる輝きを示す仕組みになっている。日本の近代化は、アジアではまれな成功例であった。 だがその司馬遼太郎も、昭和