脚本家の荒井晴彦さんとシナリオ作家協会が、芥川賞作家の絲山(いとやま)秋子さんを相手取り、絲山さんの小説を原作にした映画脚本の書籍への掲載などを求めた訴訟で、東京地裁は10日、請求を棄却する判決を言い渡した。岡本岳裁判長は、脚本の著作権は脚本家だけでなく原作者にもあり、出版を拒む権利があると判断した。 問題の作品は2005年公開の映画「やわらかい生活」(寺島しのぶ主演)の脚本。原作は絲山さんの「イッツ・オンリー・トーク」で、07年にDVDになった。脚本は同協会発行の「06年鑑代表シナリオ集」に収録予定だったが、映画化を承諾した絲山さんが「脚本は活字として残したくない」と掲載を拒んだため、荒井さんらが提訴した。 判決は、映画、DVD化は原作の著作権を管理する出版社と映画プロダクション会社との間で結ばれた契約に基づき実現したと指摘。荒井さんらは契約当事者ではないため、契約を根拠に書籍への掲