左が初音ミクの声を担当した藤田咲氏,右が初音ミクに続く歌声合成ソフト「鏡音リン・レン」の声を担当した下田麻美氏 力強い助っ人を得た開発チームは,まず声優の選考を始めた。基準は,「VOCALOID2に適した声で,かつかわいらしさを強調した声」(佐々木)だった。ただし極端な「アニメ声」の声優は除外した。現実感がなさすぎると考えたからだ。 約500人にも及ぶ声優の声を慎重に聴き,ようやく数人に絞り込んだところで,大きな問題が発覚した。リストに残ったいずれもが有名な声優だったのだ。「彼らの演じたキャラクターのイメージがVOCALOID2のソフトウエアに先行するのは困る」(佐々木)。そこで佐々木らは,声優の所属事務所にリクエストして,選出した声優と似た声を持つ若手声優のリストを集めた。この中に,初音ミクの声を提供することになる藤田咲の声があった。「最後は直感。聴いた瞬間にピンときた」(熊谷)。 16
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