このように米国の大手IT企業がこぞってディープラーニングの推論アクセラレータに注力する中、ある日本のスタートアップ企業が、世界的に異色の成果を上げた。 単価わずか500円ほどの市販のボードで、10フレーム/秒(fps)もの速度のディープラーニング推論を実現したのだ(図1)。2015年に創業した精鋭技術者の集団、Idein(イデイン)というベンチャーの成果である。 Ideinの技術は、完全なビデオレートまでは到達していないが、動画として十分スムーズといえる速度である。モバイル向けのディープニューラルネット「MobileNet v2」で1000クラスの分類タスクをこの速度で実現。既存技術と比べて、10倍ほどの高速化を達成した。 彼らが使ったのは「Raspberry Pi(ラズベリーパイ、略称、ラズパイ)」。教育用途などとして世界で累計1250万台以上もの出荷実績を持つ小型のCPUボードである。
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