華中科技大学は、外部電源なしで、肌を温めたり冷やしたりする、丈夫で快適な繊維を開発した。この研究は2020年3月27日、『ACS Applied Materials & Interfaces』に掲載された。 これまでにも、変化する気象条件に合わせ、気温が高いときは涼しく、寒くなると暖かいという衣類が研究されている。だが、こうしたスマート衣類では、1つの生地に2つの機能性を持たせることができない。そのため電子デバイスを用いることになるが、厚手で重く、壊れる可能性もあり、また高価になるという欠点がある。加えて、外部電源も必要になる。 そこで研究チームは、こうした欠点を克服できる、実用的な布地を開発することを目指した。 まず、絹とキトサン(甲殻類の硬い外骨格から得られる材料)を凍結紡糸(freeze-spun)法により、多孔性の微細構造を持つ繊維にした。そして、熱エネルギーを吸収/放出できる相変
マサチューセッツ工科大学コンピュータ科学・人工知能研究所(MIT CSAIL)の研究チームは、電子機器のプロトタイプ開発をスピードアップするために、製品形状を模したプロトタイプにブレッドボード機能を組み込む手法を開発した。デバイスの表面にブレッドボードの構造と機能を3Dプリントする「カーブボード(CurveBoard)」についての詳細は、CHI(Conference on Human Factors in Computing Systems)で発表された論文で報告されている。 ブレッドボードは、電子回路のテスト用に広く使われている基板だが、その長方形という形状は何十年も変わっていない。そのためさまざまな形状を持つスマートデバイスのプロトタイプ開発では、電子機器の見た目や感触をブレッドボードだけでテストすることは難しかった。 今回MITの研究チームは、最終的なデバイスの外観と同じで、プロトタ
情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII) はは2020年3月23日、マツダの研究用モデルをもとにして、自動車の危険動作を自動運転の経路計画プログラムから自動検出する手法を開発したと発表した。避けようがない衝突事故が起きるシナリオを検出してしまうという課題があったが、同手法を開発することで、自車の動作修正により衝突を回避できるシナリオだけを自動検出できるようにし、この問題を解決したという。 経路計画プログラムにサーチベースドテスティングや反例探索を使用する場合、動作の危険度を各シナリオのシミュレーション結果から算出し、その危険度がより高くなるようにシナリオの変更を繰り返して探索する。これによりAI(人工知能)は、危険な動作を引き起こすシナリオを自動検出する。しかし、この技術を自動運転のように実世界を扱うシステムに使用すると、非現実的なシナリオを作ってしまうという課題があった。 NI
アメリカの宇宙関係エンジニアであるJustine Hauptさんが、ダイヤル式携帯電話を自作、オープンソースとして公開した。スマートフォンのタッチスクリーンのように、中の制御が分からないという煩わしさもなく、その上メールやtwitterなどで「テキストを送信しないことの言い訳」にもできる、というのが製作理由だという。 この携帯電話で最も目を引く部品は、Western Electricの旧式な電話からとった「回転ダイヤル」と、SMAコネクタを使う「本物のアンテナ」だろう。一方で、搭載されたテクノロジーは現代的なもので、ATmega2560Vマイクロコントローラを中心に、不在着信や基本情報を表示するe-Paperディスプレイも備えている。もちろん、10-LEDシグナルメーターや登録した電話番号を呼び出すためのショートカットボタン、電源スイッチなどは、すべてハードウェア構成としている。通信には、
早稲田大学大学院先進理工学研究科修士2年の山田研成氏および理工学術院の関根泰教授らの研究グループは2020年1月22日、低温で二酸化炭素を資源化する全く新しい手法を開発したと発表した。常温から100度台と低い温度で、二酸化炭素と再生可能エネルギーで得られる電力と電解水素を反応させて資源化する。 これまで二酸化炭素を再び資源化する手法として、400度程度の温度で、水素と固体触媒を用いて還元し、一酸化炭素やメタンなどへ転換する方法が知られていたが、比較的高い温度が必要だった。また、欲しいときに欲しいだけ資源化を進められるプロセスは存在しなかった。 研究グループは、回収した二酸化炭素と、再生可能エネルギーから得られた電力と電解水素を用い、常温から100度台という低い温度範囲で、効率よく速やかに二酸化炭素を資源化する手法を開発した。セリウム酸化物の上に、ルテニウムという金属の微粒子を微細に載せた固
MITの神経科学者のアドバイスによると、注意力を高めたいときや集中したいときは「脳波のアルファ波を弱くする」と良いらしい。 アルファ波とは脳波のうち周波数8~12Hzの成分であり、知覚情報処理に関わると考えられている。これまでの研究から、脳の部位のうち特に頭頂葉皮質において、アルファ波と注意力との間には強い相関があることが分かっており、アルファ波の減少は注意力の強化に何らかの関係があるという。しかし、アルファ波が注意力をコントロールしているのか、それとも注意力をつかさどる他のプロセスの単なる副産物であるのかは、はっきり分かっていなかった。 そこで研究チームは、被験者にスクリーンの真ん中にある格子パターンを見せるという実験を行った。被験者は脳磁図計測され、研究チームは、被験者の頭頂葉皮質の左側と右側のアルファ波のレベルから、左右の非対称性を算出。計測値の非対称性が大きくなると、スクリーン上の
独バイロイト大学をはじめとする国際研究チームは、ポリアクリロニトリルをベースとし、羽のように軽く、かつ強くて丈夫な繊維を開発したと発表した。繊維1本は人間の髪の毛ほどの細さだが、30gの重量を吊り下げても切れないという。研究結果は、2019年12月13日付の『Science』に「High strength in combination with high toughness in robust and sustainable polymeric materials」として掲載されている。 クモの糸は、強くて丈夫なことで知られている。その特性を合成繊維で再現することは難しいとされているが、強度と靭性を兼ね備えた素材に対するニーズは、産業界や医学界でも非常に高く、さかんに研究が進められている。 今回研究チームが開発したポリマー繊維は、1236±40MPaの引張強度と1gあたり137±21Jの靭
不透明な太陽電池パネルを透明にできる効果的かつ安価な手法が開発された。この研究は、蔚山科学技術大学校(UNIST)と高麗大学校が共同で行ったもので、成果は2019年12月11日に、『Joule』誌に掲載されている。 太陽電池パネルの設置には、地上や屋根の上に十分なスペースが必要となる。もし太陽電池パネルが透明であれば、屋根ではなく窓や自動車のサンルーフなど、さまざまな用途に使用できるという利点があるが、これまで開発された透明な太陽電池は、赤みがかった色をしており、効率と安定性に限界があったという。 今回の研究では、シリコン結晶ウエハーに人間の毛髪程度の直径約100μmの穴を開けるというシンプルなものだ。シリコン結晶は不透明だが、あるパターンで穿孔することで、光を透過し、人間の目には透明にみえるものにできる。 もちろん、透過光が多くなることで、太陽電池としての効率は落ちる。市場で最高の太陽電
H2LとNTTドコモは2020年1月10日、自分の顔に他者の口の動きと顔の表情をリアルタイムに再現する「Face Sharing」を共同開発したと発表した。 Face Sharingを活用すれば、他者に代わって自分が会話をすることや、他者の口の動かし方を実際に体験でき、遠隔からサポートを受けながら外国語での会話や専門的な知識が必要な会話などを行うことができるという。 Face Sharingは、頬に装着したデバイスから口周りの筋肉に電気刺激を与えて収縮させ、 他者の口の動きや人工知能(AI)が指定する口の動きを再現する技術だ。複数のデバイスを用いれば、一人の口の動きを複数人に同時に再現できるという。 具体的には、プレゼンテーションの上手な人の口の動かし方や間の取り方を体感したり、プロの歌手の口の動かし方を学ぶこともできるという。口を動かす練習用プログラムを組んだAIを使って、口の動きを習得
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く