フランスの思想家・活動家・映画作家ギー・ドゥボールによる1967年刊の著作。現代のメディア消費社会を「スペクタクル」という概念で捉え、批判する。スペクタクルの社会とは、マスメディアの発達とともに資本主義の形態が情報消費社会へと移行し、生活のすべてがメディア上の表象としてしか存在しなくなった状況を指す。その後『スペクタクルの社会についての注解』(1992)が書かれている。スペクタクルの社会で中心を占めるのは徹底して受動的な消費生活をおくる「観客」、すなわち保守的な中間階層(いわゆるサラリーマン層)であり、搾取の場は工場よりも日常生活となり、労働と生産をめぐる闘争よりも余暇と消費をめぐる闘争が重要となる。現代において最も示唆的なのは、『注解』で示された、東西冷戦後のスペクタクルの「統一的」形態であろう。この統一的スペクタクルの最大の特徴は、反体制的言説自体がパッケージされたメディア的情報として
![美術館・アート情報 artscape](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/72ae6a8f3b88e5dc3f0c7196e3da9b71cadb3984/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fartscape.jp%2Fcommon%2Fimage%2Fhead_logo_sp.gif)