三島由紀夫の時代精神のようなものが亡霊、幻影となってそれに続くクリエイターに影響を及ぼしているとぼんやり考えていた。いや、三島由紀夫に代表される60年代の亡霊というべきか。終戦の日、8月15日が戦後の原点であることを長谷川三千子氏が示してくれたので、押井守や、かわぐちかいじの作品の位相、位置が理解できた。 三島由紀夫の自決前の檄文に治安出動のことが書かれていたと。 四年前、私はひとり志を抱いて自衛隊に入り、その翌年には楯の会を結成した。楯の会の根本理念は、ひとえに自衛隊が目ざめる時、自衛隊を国軍、名誉ある国軍とするために、命を捨てようという決心にあつた。憲法改正がもはや議会制度下ではむずかしければ、治安出動こそその唯一の好機であり、われわれは治安出動の前衛となって命を捨て、国軍の礎石たらんとした。国体を守るのは軍隊であり、政体を守るのは警察である。政体を警察力を以て守りきれない段階に来て、