謎解きはディナーのあとで 2013年 日本映画 個性豊かな登場人物がたくさん ドラマから映画化です。 令嬢・麗子と執事・影山がくりなす推理ショーです。 ボンボヤージ
「美姫さんってさ、自分の事どう思う?」僕が聞くと 「気弱なマダム?ってとこかな?」と言ってきた。 ちょっと意味が分からない。ひとつも僕のイメージする美姫さんに当てはまってない。 「ちょっと待って。マダムって何?」僕はひとつずつ聞いていくことにした。 「マダムってのは、フランス語で“既婚女性”の事を言うんだよ」と美姫さん。 まぁ……合ってるな。 「じゃぁ、『気弱』ってのは?」と僕。 どちらかというと美姫さんは『気が強い』方だと僕は思う。 「雨の日は傘をさすし、水たまりがあったらちゃんと避ける。冬の日は防寒につとめるし、暑い日は冷房のお世話になる。台風の日は危ないから家にいるし……自然にあらがわずに生きているんだよ。気弱でしょ」と美姫さん。 ん?それみんなじゃん。と僕が思ったその時 「僕は水たまりは除けないよ。むしろ、そのまま進む。降水確率も気にしない。100%だって当たらないかもしれないしな
明日は僕のPTAだ。 お父さんが仕事から家に帰ってくるなり「ショウ。ごめん。明日抜けれない仕事が入ったからPTAに行けないや。」と言ってきた。 「別にいいけど。」と僕。 「でもな、今回のPTAは大事な話をするらしいから行きたかったんだよね。」とお父さん。 すると美姫さんが「私、行ってもいいよ」と言い出した。 僕のPTAには必ずお父さんがくる。だって、美姫さんが行くと「PTAで先生が話していたのは日本語だった」って言うから。それでこの前の美姫さんが行きたがって行ったPTAでは、先生の話をお父さんが「録音してきて」って言ったのに録音し忘れて、おじいちゃんにPTAの資料を読んでもらい、それを録音していた。 案の定、お父さんにバレて怒られていたけど。 「ちゃんと、先生の話をきいてくるんだぞ。」とお父さん。 「こうちゃん、私の事いくつだと思っているの。それぐらい出来るよ。」とちょっと拗ねる美姫さん。
「オックスフォード英語大辞典」の誕生秘話を描いています。 言葉の面白さを改めて感じ、 人間の強さや脆さ、暖かさや醜さ、 いろんな事が紙一重なんだろうなと思いました。
「えー。」休みの日、まったりとみんながリビングでくつろいでいる時、いきなり美姫さんが話し始めた。 「昨今、個人的なやり取りが情報として洩れるという事案を目にいたしました。」と美姫さん。 どうやら、どっかの芸能ニュースでも目にしたのであろう。 「危機管理能力の高い私としてはですね。」美姫さんは続ける。いやいや、防災カバンの中身の食糧を「お腹が空いているのはピンチだ!」と言いながら食べている人から『危機管理能力が高い』なんて言われたくないけど。 「これは斉藤家の一大事だと思いまして、これから個人的なやり取りの暗号化を決めたいと思います。」と美姫さん。 『決めたいと思います』ってうちは独裁国家か。まぁ、独裁国家といえば独裁国家だよな。と僕は心の中で笑う。 「はい。」とお兄ちゃんが手を挙げる。 「ユウくん。どうぞ」美姫さんが言う。 「暗号化ってどうするんですか?」とお兄ちゃん。 質問があった事が美
転生ものが流行っている。 美姫さんに「もし、転生できるなら何に転生したい?」と僕が聞くと 「うーん。そうだな……。右はショウの右目で左はユウの左目かな?」という答えが返ってきた。 ゾゾゾと寒気がする。 「何で、目なの?」と僕が言うと 「目だとさ、鏡見た時に目が合うじゃない。毎日、目が合うんだよ。」とニッコリする美姫さん。 聞いた僕がバカだった。悪寒しかない。 同じ質問をお兄ちゃんにも聞いてみる。 「お兄ちゃん。もし転生できるなら何になりたい?」と僕が聞くと 「生まれ変わったらか……。そのままでいいかな?」とお兄ちゃん。 なんか、つまんない。 「お兄ちゃんは、憧れているモノとかは無いの?ほら、憧れているモノになってみたいとかあるじゃん。」と僕。 「憧れているモノか?そうだな……。地球か。」とお兄ちゃん。 お兄ちゃん…地球に憧れている? とお兄ちゃんが、「ショウ。ありがとな。」と急に言ってきた
むかし、むかしある所に普通の男が居た。 どのぐらい昔かといえば、江戸末期ぐらい。 まだみんなが農業を主にしていた頃。 男は、どんなのかって? まぁ、見た目は普通。中肉中背。年の頃は……20代。 特徴といえば、よく食べる。3つ先の村の住人が知っているぐらい良く食べる。大食い選手権に出たら、日本一?いや、世界一になれるぐらい。 そんなに食べるのに中肉中背。ちょっと羨ましい感じの男だった。 その村には若い男手が無かった。だから、みんながその男に村の期待をかけていた。だから、男の家には食べ物がたくさん集まってきていた。 『若いんだから、食え』それがその村の合言葉のようなものだった。 みんなが食べさせるから、男は更にどんどん食べるようになる。 天候が良い年は、たくさん農作物が取れるから、男に沢山食べさせても問題が無い。問題は、天候の悪いの年だ。 そして、天候の悪い年がやってきた。 採れる農作物がいつ
「もう、やってらんない。決別だ!」朝から美姫さんが怒っている。 「どうしたの?」と僕は優しいので、一応聞いてあげる。 「毎日、毎日暑いじゃん。いつもね、寝る前に【環境】に話しかけてるのよ。『明日は、涼しい日にしてください。』ってなのに全く話を聞いてくれないのよ。これはもう、仕掛けてもいいと思わない?」と美姫さんがプンプンしながら言う。 美姫さん…うち、美姫さんのおかげ(せい)で、寒いぐらいだよ。と言いたいのをグッと堪え「家の中ってそんなに暑くないじゃん。」と僕が言うと 「外を見てると、暑さが伝わってくるのよ。こうちゃんも帰ってくるとき『今日は暑かったなぁ〜』って帰ってくるし。たまに出ないといけない時だって、殺人級の暑さじゃん。喧嘩売られているよね。」と美姫さん。 「で、何をするの?」と僕が聞くと 「【環境】と全面戦争をする事に決めました。」と美姫さん。 僕がキョトンとしていると 「話し合い
真実が知りたいー ヒロシは、もう何年もそう感じてきた。 ネット社会、進む技術。 でもヒロシの知りたい“感情”は分からない。 もしかしたら、書いてある文章とは裏腹の事を考えていたかもしれない。 表向きは笑っているが実は嫌だったのかも知れないし、書いてある通りの嬉しさの笑顔だったのかも知れない。 調べれば調べるほどにその人物を感じたいと思う。 本心はどうだったのか、表情を想像するしかできない。 そんな時にヒョンな事から、大学の同級生のウエダに会った。 「おぅ!元気だったか。」とウエダ。 「まぁ…な、ぼちぼち」とヒロシ。 「そういえば、お前、まだ調べているのか?」とウエダは言ってきた。 ウエダはヒロシが、熱心に調べ物をしてた事を覚えていたのだ。 「まぁ…な。」とヒロシ。 「その顔を見ると、まだまだ真実には辿り着いてないって事だな」とウエダ。 ヒロシは苦笑いをする。 と、ウエダが 「ちょっといいか
事の発端は、またしてもテレビだ。 「私も接待がうけたーい」その一言から始まった。 いつもは何もしないくせにこういう時だけ行動が早い。 次の日には仕事先を見つけてきた。 「ショウ。接待うけるために明日から働きます。」と美姫さん。 働く動機ってそんなものでいいのか?僕は首をかしげる。 その次の日、学校から帰ってくると「ショウ。仕事辞めた。」と美姫さんはプリプリ怒っていた。 なんとなく察しは付いていたが、確か今日は初日だったはずだ。 何があったのだろう。 「美姫さん何の仕事をしたの?」 僕が尋ねると 「ティッシュ配りだよ。ほら、ティッシュって必需品じゃん。無いと困るから貰えたらラッキーでしょ。そんな欲しい物配っている人には接待したくならない?」 と美姫さん。 「今時、ティッシュ配りなんて仕事がよくあったな」とお父さん。 確かに…僕は見たことない 「そうなのよ。こうちゃん、どこを探しても条件の良い
珍しく夕食後、ゴロゴロせずに美姫さんが、インターネットで調べ物をしていた。 「何しているの?」と僕が聞くと 「クローン人間ってさ、どこで手に入れられるんだろうって思って。」と美姫さん。 ……そもそもクローン人間って作ったらいけないんじゃなかったかな……そんな『犯罪してますよ~』って行為をインターネットで公開している人がいるのかな…… 「美姫さんは、何でクローン人間がほしいの?。」僕は聞いてみた。 「もうさ、疲れたのよ。」と大きくため息をつく美姫さん。 はぁ??寝て起きて食べるしかしない美姫さんのどこが疲れるんだろう。 「何か、忙しい事でもあるの?」とりあえず僕は聞いてみる。もしかしたら、僕のいない日中には忙しくしているのかもしれない。 と、そこにお兄ちゃん「母さんが、忙しいわけあるわけないじゃないか。」と笑いながら言う。 美姫さんがお兄ちゃんをギロリと睨み、べ~っと舌を出し、反論をはじめた
「ショウ。今日、学校どうだった?」学校から帰ってきておやつを食べていた僕に美姫さんが聞く。 「ふつう。」僕は答える。 すると、ソファーにドカッとしていた美姫さんが立ち上がり、リビングに掛けてあったカレンダーに“ツン”と書いた。 その様子を僕は横目でみる。ほぼ、興味はない。 ー次の日 帰ってきておやつを食べていた僕に美姫さんが聞く。 「ショウ。今日は学校どうだった?」と。 「ふつー。」と僕は答える。 すると、美姫さんはソファーから立ち上がりカレンダーに“ツン”と書いた。 ……どこかで見た光景だ。うん、でもまぁいい。 僕は、そのままおやつの続きを食べる。 ー次の日 「ショウ。今日は学校どうだった?」と美姫さんが、学校から帰ってきた僕に聞く。。 「ふつう。」僕は答える。 美姫さんがカレンダーに“ツン”と書く。 よく見ると、昨日もその前も“ツン”って書いてある。そういえば、ここ毎日、学校の様子を聞
「美姫さん。学校でさ、マウントを取ってくる人がいるんだよ。」と僕はおやつを食べながら、ソファでゴロゴロしている美姫さんに言う。 すると、美姫さんがガバッと起き、目をキラキラさせて 「ショウのクラスには類人猿がいるのかい?」と言ってきた。 えっと…デジャヴ?このやり取りどこかで見た気がする。 いやいや、そんな事は問題じゃない。問題は、美姫さんの言動だ。 「美姫さん、類人猿って何?。」と僕が聞くと 「“マウント”ってさ、猿科の動物が取るじゃん。だからさ、もしかしてショウのクラスメートって猿人に最も近い類人猿なのかなって。進化の過程がみられるって歴史的発見じゃない?もしかして、ノーベル賞とか?」と目をキラキラさせる美姫さん。 と、パソコンで調べ物をしていたお兄ちゃんが「母さん、流行りは繰り返されるっていうじゃないか。AIまで行きついたから、今度は類人猿になるんだよ。最先端の流行りだよ。」と言い出
「どうしたの?」と僕が聞くと 「ちょっと休憩中。」とお兄ちゃん。(お兄ちゃんは、受験生です) 「ふぅ〜ん。」と僕は言い、そのまま通り過ぎようとした時に お兄ちゃんの履歴書が目に入った。 「履歴書だ〜」と僕が言うと 「バイト用の下書きだよ。」とお兄ちゃん。 「ふぅ〜ん。」と僕は言い、中身を見る。 名前・住所……そんなに面白くない。 誕生日……知ってる通りだ。 学歴・職歴……学歴は、聞いた通り中卒だった。職歴は、ズラズラズラと書いてあった。それも国内外問わず。 「お兄ちゃん。海外とかも行ってたの?」と僕が聞くと 「まぁな。色々と放浪してたから、その土地で仕事をしないと生活できなかったからな。」とお兄ちゃん。 「ふぅ〜ん。」意外とお兄ちゃん、凄いんだな。僕は、ビックリする。 資格・免許……普通自動車免許に大型自動車免許。お兄ちゃん、大型自動車も運転出来るんだ。僕は、さらにビックリする。 そこには
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