印刷 津波が町の中心部を襲った宮城県女川町では、コンクリート製のビルも横倒しになった。町はこれらの建物を、津波被害の研究資料として保存する方針だ。 町復興推進室によると、町内では7割近くの建物が全壊。海に近い中心部は特に被害が大きく、4階建てビルなどコンクリート製の建物4棟が地面からはがされ、横倒しになっている。町や民間の施設、交番などで今も撤去されていない。 これらのビルについては、6月に開かれた町の復興計画を検討する委員会で取り上げられ、災害の専門家から「津波の動きを研究する観点から興味深い」「被害軽減の基準を作るために保存が必要」などの意見が出た。約70メートル流された建物もあり、倒れた向きも違うことなどから、津波の強さや流れ方の検証にも役立つとの指摘もあった。 委員の一人、首藤伸夫・東北大名誉教授(津波工学)は「コンクリートの建物が津波で倒壊した例は世界でもまれ。津波避難ビ