110年前に建てられた国の登録有形文化財、南海本線の浜寺公園駅(堺市西区)の旧駅舎が「お引っ越し」中だ。高架化に伴い、建物をまるごと約30メートル移動して保存。来春からギャラリーなどとして使われ、2028年ごろ完成予定の新駅舎のエントランスとして復活する。 旧駅舎は東京駅などを手掛けた建築家、辰野金吾の事務所が設計し、1907(明治40)年に建てられた。白壁に赤い屋根のレトロな洋風の木造平屋建て。かつて「東洋一の海水浴場」と呼ばれ、毎夏100万人が訪れた浜寺海水浴場の玄関口として親しまれた。昨年1月に仮駅舎に役割を譲るまで、私鉄で国内最古の現役駅舎とされた。 「地元のシンボル」として保存を望む声が強く、「曳家(ひきや)工事」を採用。基礎から切り離した建物(約130トン)を専用のレールに載せて油圧装置で押して移動させる。工事は先月28日に始まり、1日と18日の3回で、1回約10メートルずつ移