日野 なおみ 日経ビジネスクロスメディア編集長 月刊誌「日経トレンディ」を経て、2011年から「日経ビジネス」記者。航空・運輸業界や小売業界などを担当。2017年4月から現職。 この著者の記事を見る
![「消臭力の大ヒットは、“皆殺し”から始まった」:日経ビジネスオンライン](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/9c992d602f8eee17da37ad0eaf854530b9e6107c/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbusiness.nikkeibp.co.jp%2Fatcl%2Fopinion%2F15%2F102800010%2F110600004%2Ffb.jpg)
『人の「モビリティ」を高めるために』という本連載の趣旨は、人々のモビリティ(機動性)を高めてワークスタイルやライフスタイルを変革していくために、データ入力、セキュリティー確保、アプリケーション整備など、モバイルデバイスの使いこなしを考えることである。 連載第1回で、いまやマルチデバイスが前提であり、スマートフォンやタブレット派(あるいはアップル派)対ノートPC(パソコン)派(あるいはマイクロソフト派)といった対立構図にとらわれないように注意したい、と述べた(『マイクロソフトの“タブレット”参入に一番驚いた人たち』参照)。 第2回はデータ入力を取り上げた(『たかがキーボード、されどキーボード』参照)。第3回は、モバイルデバイスを会社が購入せず、従業員に購入させるやり方を紹介する。 「記事を強引に面白くしようとする」と「衝撃見出し」を付けたくなる、という話を第1回に書いた。第1回記事を公開した
「米国なら50万円でも数千人集まるのに日本ではタダにしても数百人ですよね」。 セミナーやカンファレンス、シンポジウムといった人が集まる催しの話である。本職は記者のはずだが催しを企画することもある。趣旨と題名の決定、プログラムの作成と講師依頼、催しの告知、当日の立ち会い、報告記事の執筆などやることは結構ある。数えたことはないもののかかわった催しの数は50回を超えているだろう。 企業や各種団体にも似た仕事を担当している方がおられる。本業を補完するためにセミナーを企画している人たちである。お会いすると必ずといっていいくらい冒頭の話になる。 例えば、IT(情報技術)関連のカンファレンスを開く場合、米国ではオーランドやラスベガスといった場所で1週間くらい開かれる。色々な値段があるものの数千ドルはする。 驚くのは冒頭の発言の通り、数千ドルを払ってやってくる参加者が数千人いることだ。失礼ながら日本で無名
日本初のクーポン共同購入サービス会社、ピクメディア。その同社が事実上撤退に追い込まれた。市場形成から約1年。早くも業界再編の号砲が鳴った。 2010年4月に日本で初めてクーポン共同購入サービス「Piku」を開始したピクメディアが、同事業から事実上撤退することが明らかになった。今年8月以降、Pikuのブランドは継続するものの、掲載するクーポン情報は同業のシェアリー(東京都港区)が提供する。ピクメディアに在籍する社員17人のうち12人の営業社員の大半はシェアリーに転籍する見込みだ。 海外VC(ベンチャーキャピタル)3社と国内の1社から総額9億円近くの調達に成功し、最盛時には120人を超える社員を抱えるまで成長。ぐるなびと共同事業を手がけるなど、一見順調にも見えた同社だが、同社が先鞭をつけたクーポン共同購入市場には米グルーポンやリクルートなど大手資本が次々に参入。営業力がモノをいう同市場は乱戦に
延々と続く瓦礫の山。地震の前には、壊されたすべてのモノに持ち主がいて、温かい生活の一部を支えていただろう。それが今や、無機質なゴミと化し、その多くは持ち主と再会することなく処分されていく。 全国でも有数の良港として知られる宮城県の気仙沼。港には多くの船が水揚げのために停泊し、近隣は市場や加工場がひしめき合って建っていた。それがすべて、津波に押し流されて消えた。 出航を告げる船の汽笛、魚市場に響き渡る威勢のいい競りの声、缶詰工場の機械が刻む小気味良いリズム音――。多くの人々の喧噪に包まれていたその場所は、今、無音の空間が広がっている。 覚悟はしていた。だが、テレビの映像からは伝わってこなかった凄惨さが、目の前に広がる。何かが違う。現地に赴いて呆然と立ち尽くしながら感じた違和感は、静寂さだった。テレビでは、リポーターが現場を伝える声が流れている。だが、実際の被災の現場は、ここまで無音だったのか
関税をほとんど例外なく撤廃することを目的とした、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加をめぐっては、日本の食糧自給率の低さがたびたび話題になる。「41%」という数字が一人歩きし、世界の安い食料品に日本の農家が押しつぶされる--そんなイメージは、正しいのだろうか。 ―― 「日本の食料自給率は41%、世界最低レベルだ」という言葉は、農業について語る際の枕詞のようになっていますね。 浅川 脊髄反射のように唱える方がいますが、これは実は大変な誤解を招く表現です。 そもそも「食料自給率」とは、農林水産省の定義で、国民が食べている食料のうちどれだけが国産で賄えているかを示す指標です。5種類あるのですが、よく出てくる「41%」というのはカロリーベースでの計算。国民1人、1日当たりの供給カロリーのうち、国産がどれだけかを示すものです。 こう言われると、「実際に食べている食品のうち、どれだけが国産かの
「こーんな話、誰が得をするんですか?」 と、午前八時台の情報番組の司会者は、甲高い声をあげた。 「だって、ずっと昔の終わった話でしょ?」 「どうしていまさら蒸し返すのかしら?」 コメンテーター諸氏も、口々に同様の見解を申し添えていた。 分かるよ、オグラさん、あんたの言う通りだ。こんな話題をほじくり返しても誰も得なんかしない。 でも……、私は、画面を眺めながら、それでもこう思った。 「スキャンダルというのは、そもそもそういうものなんじゃないのか?」 と。 不倫ゴシップは、かかわった当事者に利得をもたらすために報じられるものではない。あたりまえの話だ。 誰もが損をし、誰もが傷つく。だからこそそれは醜聞と呼ばれている。 それが、いつの頃からか、ワイドショーが取り上げるスキャンダルは、「誰かが得をする」タイプの話題に限られるようになった。テレビはゴシップをコントロールし、自社生産し、一口サイズに裁
所持金なし、宿もなし、仲間も家族もなし、という状態でとつぜん街中に放り出されたら──。すべては、この問いかけから始まる。 景気はなかなか上向かず、ヒトも事業も仕分けされがちな昨今、誰にとってもそうした可能性が絶対にないとは言い切れない。 ところで、あなたならどうしますか? なんとか履歴書を入手して仕事を探す──。至極まっとうな答だろう。しかし、著者は別の方法を提示する。 キーワードは「<都市の幸(さち)>で暮らす」。 〈そのとききみは、政治、経済、労働、あらゆるものから解放され、きみ自身にしかできない生活を獲得するだろう〉 そう、これは世が世なら政府が発売禁止にしてもおかしくない“危険”な思想書でもある。さて、無職・無一文で<都市の幸>を狩猟採集して暮らす方法とは? そのドアをノックした瞬間、彼の人生は大きく変わる その前に、著者の坂口恭平氏について簡単に紹介しておこう。1978年、熊本県
遙から 学生たち対象の就職セミナーというのをよくニュースで見る。面接時の話し方、表情、自己紹介の仕方など、懸命にレッスンする光景を見ながら、「そんな付け焼き刃で自分作りが可能だろうか」と疑念を抱いてきた。その人らしさのまま面接官の前で勝負できないものだろうか、と。 ある日、そんな私が面接官らしき立場を担わされることになった。 大学時代の先生からの依頼で、「優秀な女子学生なので、どこかに就職口がないかまずは君が面接をしてやってほしい。もう四回生なのでいい所があれば推薦してもらえないか」と。 先生自身も同伴するということなので、久しぶりにお目にかかる機会でもあり、せっかくだからランチをしながらの面接をすることになった。 その食事の席でのこと。 私は先生に酒を勧めた。すると先生は生徒にも聞いた。 「君も酒を飲むか?」 すると生徒は言った。 「うん」 …う…うん? 私は驚いた。今がなんの席か分かっ
金融危機以降、不動産業界には猛烈な逆風が吹き付けている。だが、アゲンストの中、安定的に利益を出している不動産ベンチャーがあった。それは、大証ヘラクレスに上場しているスター・マイカ。売上高140億円、営業利益で16億円(2008年11月期)ほどの新興企業に過ぎないが、2009年11月期の第1四半期には2億5100万円の営業利益を確保。通期でも17億円の営業利益を見込む。経営破綻や営業赤字に転落する企業が相次ぐ中、スター・マイカの堅実性は一際目を引く。 入居者がいる中古マンションを取得し、賃貸人がいる間は大家として賃料収入を得る一方、退居後は中古マンションとして中古市場で販売していく――。これがスター・マイカのビジネスモデルである。こう書くと、単純なビジネスモデルに聞こえるが、なかなかどうして他社には真似ができない。なぜ逆風下でも安定的な利益を出しているのか。なぜ競合他社に真似ができないのか。
高橋 初めに申し上げておくと、僕はいわゆる中国専門家ではありません。あくまでも農業の専門家、食料の専門家です。多くの中国専門家は中国そのものを研究していますが、私は中国という国を研究しているのではなく、中国で生産されている食料について、農作物を実際に作っている農民について、さらには、どういう農地を使って農業をしているか、どのような生産をしているか――といったことを研究しています。 中国の農業を本格的に研究し始めたのは15年ほど前になりますが、それまでも様々な国の農業を研究してきました。日本はもちろんのこと、アジアや米国、ヨーロッパなどで農民に話を聞き、農業の実態を調査してきました。私の関心事は、日本で消費している食料がどのように作られているか、農民がどのように食料を作っているか、その暮らしぶりはどうなっているか、というところにある。 ―― 中国の農業を研究しようとしたきっかけはどこにあった
なんであんなに、一日の休みのことに腹を立てていたのか。30年前、就職難の時代にワタシが勤めたのは、良書販売を掲げた老舗書店だった。 仕事じたいには何の不満もなかったのだが、ささいなことで首をかしげたくなることの多い会社だった。不満のひとつが「社員旅行」の扱いで、欠席を口にしたら、全員参加の会社の行事で、不参加は「欠勤」になると厳しくいわれた。 店は年中無休で、一泊バス旅行の出発も深夜。会社の行事であるにもかかわらず、その日は、月5日の休みの「1日」が充当される。社員にしてみたら、一日休みがなくなるという計算だ。オーナーにしてみたら、お金を払って連れていってやっているという気持ちがあっただろうし、アルバイトも引き連れての慰安旅行には温情の一面もうかがえた。 フリーランスとなって、休みのない毎日を送ってみると、「家業から企業に変わろうとしていた時だったんだなぁ、あれも」と思ったりする。同時に、
抽象的な言い方になるが、娘とは「母が育てる」ものであり、息子とは「父が育てるもの」ではないか、と、日ごろ、各界で活躍する多くの「娘」と「息子」たちに接していると、つくづくそう思う。 つまり人間も、その根幹には生物的な性別ラインが敷かれている、ということなのだろう。 しかし世の中には、いろいろな事情で、性別による割当ができない環境に置かれる「娘」と「息子」も多い。文筆家の幸田文はまさしくその例で、「母の娘」ではなく「父の娘」として育った人物だ。 父は明治の文豪、幸田露伴。露伴の最初の妻が文の生母だが、彼女は文が6歳の時に病気で亡くなる。その2年後に露伴は継母と再婚するが、継母は実母と違って家事に疎く、家庭生活はなかなかに難しいものだった。 となると、家事を担うのは娘の文の役割になる。こうして文は、まだまだ夢想にふけりたい思春期のうちから、掃除、洗濯、食事など生活一切をまわすしつけを、父から受
片目のまわりがこぶになった看護学校の先生を何カ月か取材したことがあった。子どものときに発病してからの半生を本に書いたりもしている人だ。挫けない彼のたくましさに惹かれて取材を申し込んだものの、初めて会った際は、どこに自分の目線をやっていいものか、差し出された手を握り返しながら、戸惑った記憶がある。 いい意味でも、ひとは鈍感になるものだ。そう思ったのは、取材を終えるころだった。スタジオのライトに照らされ、カメラと向き合う彼を眺めつつ、はれあがった顔は見えているのに、目にとまらない。気がかりといえば、講演に出かけていくとき彼が必ず両手に下げている大きな紙バッグのほうで、中を見せてほしいと言い出す機会をさぐっていた。 さて本書は、このタイトルだから、「顔」や「見た目」にこだわる男をダシにしてわらうか批判する本かなと思ったなら、半分は当たり。だけど、半分はハズレだ。 著者は、ベストセラーとなった『買
「豁達」――。警備業大手セコムの社内には、至る所に墨痕鮮やかな達筆で書かれたこの2文字が掲げられている。「フータ」と読むこの2文字の意味するところは「心ひろやかに、明るく、小さなことにこだわらないさま」。セコムの持つ新進の気風をよく表す言葉だ。それは、警備から発して医療、福祉、情報システム、保険など失敗を恐れずに新たな事業に挑戦し続け、永遠のベンチャーたろうとする伸びやかな精神を表す。 セコムの社内では、萎縮する部下に向けて上司が今も言う。「フータでいこう」。今日その声は、まるで世界同時不況で萎縮する企業社会全体に向けられているかのようにも聞こえてくる。 「日経ビジネス」2月23日号の「改革の研究」でセコムを取り上げたが、このシリーズでは、セコムが挑戦する各事業と、それを切り開く「フータ」な人々を紹介していく。第2回目となる今回は、老人ホーム事業を紹介したい。セコムの子会社が運営する「コン
2009年3月期決算での最終赤字を発表したトヨタ自動車を皮切りに、ソニー、パナソニック、シャープ、東芝など日本を代表する企業が最終赤字や営業赤字に転落しようとしている。実体経済に痛撃を与えた金融危機。これまで繁栄を謳歌したグローバル資本主義経済の1つの転換点と言って過言ではない。 私たちの想像を超える深度で進む危機。一定の周期で訪れるバブルが破裂しただけなのか、それとも既存の社会・経済システムが激変する地殻変動の兆候なのか――。その解を探るには、全く異なるレンズを通して今を眺めることも重要なのではないか。数千年のスパンで文明の盛衰を見つめる環境考古学者に聞いた。(聞き手は、日経ビジネス オンライン記者 篠原匡) ―― 数千年のスパンで人間社会を見つめている考古学者が今の金融危機をどう見ているのか。今日はそれを聞きたいと思ってきました。本題に入る前に、安田教授が唱える「環境考古学」とはどのよ
組織は、複数の人間による「協働体」です。その活動成果を高めるためには、一定のルール設定が欠かせません。皆さんが所属する組織にも様々なルールがあると思います。 では、組織にはなぜルールが必要なのでしょうか? 1つは、ルールを設定することで「個々人の活動をある方向に規定し、組織内の複雑性を減らすことができるから」です。しかし、ルールにはもう1つの側面があります。それは、「リーダーの意図をメンバーに伝えるメディア」という役割です。 今回から4回にわたって、このような「ルールを活用してリーダーのメッセージを伝える」という視点に立った「ルール・マネジメント」の原則や、具体的な方法論を紹介していきます。 日本の過去の人事システムから考える「ルールの役割」 連載1回目で詳しく述べた通り、リーダーシップとは「ある一定の目的に向けて人々を導く行為」です。リーダーはメンバーを望ましい方向へと導くために、コミュ
今回は、海外出張に持って行くとホテルで快適に過ごせる様々なグッズを紹介しましょう。 海外出張はただでさえ疲れるものですから、ちょっとした物があると安心して過ごせたりします(とはいえ、荷物が多くなりすぎるのも疲れるので、以下から必要なものだけを持って行きましょう)。 まず、「ジップロックバッグ」など、ファスナーつきビニール袋。この連載4回目でも書きましたが、飛行機の中に液体を持ち込む場合はこのビニール袋に入れなければいけませんし、そのほかにも何かと便利に使えますので、数枚は持って行きましょう。 何かと便利なファスナーつきビニール袋 私は、この袋にそれぞれの国の通貨を分けて入れています。海外に着いたら、日本の通貨をビニール袋に入れて、ホテルのセキュリティーボックスにしまっておくとよいでしょう。日本に戻ったら使うキーケースやパスケースなども、この袋に一緒にしまっておくと便利です。 私はこの袋を「
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く