第1次世界大戦の悲劇を伝えるドイツの有名な象徴の1つに、悲しみに打ちひしがれてひざまずく父母の彫像がある。 母親は胸の前で両腕を交差させ、頭を垂れて祈りをささげている。涙が頬を伝っている。となりの父親は背筋を伸ばし、自分の胸を腕で堅く包み込むような姿勢で、怒りを漂わせながら真正面を向いている。 芸術家ケーテ・コルヴィッツによるこの作品はドイツで非常に高い評価を受け、瓦礫だらけになった第2次世界大戦後のケルンの街にその複製が設置された。そして今年には、2つ目の複製がロシア領内のドイツ軍墓地に設置されることになっている。 この作品のオリジナルを見たことがあるドイツ人はほとんどいない。オリジナルはベルギーのヴラズロという町のドイツ軍墓地にある。この父母の像は、1914年10月に19歳で戦死したコルヴィッツ夫妻の息子ペーターの墓前でひざまずいているのだ。 ここには、夫妻の息子のほかに2万5600人