相対的剥奪という社会学の言葉を聞いたことがあるだろうか? いくつかの異なる意味で使われるが、1つの代表的な意味は「期待」に対し「実態」が劣るため、人々の不満が生じることを言う。社会的機会がより広く開かれると、なぜか人々の社会への不満が高まる。これは19世紀のフランスの政治思想家アレクシ・ド・トックヴィルの観察によるパラドックスだが、これを説明するフランスの社会学者レイモン・ブードンによる理論が重要だ。彼の理論の概略は以下である。社会的機会がより平等になり、個々人の自己投資(典型的には教育投資)が社会的チャンスを増すという状態が生まれると、自己投資をする人の割合の伸びが、実際にチャンスを生かせる人の割合の伸びより上回ることが多く、その結果自己投資をしたにもかかわらず、投資を生かせない人々が多数生まれるため、社会的不満度の高い人々が増える、と。 ブードン理論を実現してしまった韓国 韓国社会(注
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