がんだった。 長く病みつつも7月まで働いていたが、8月には歩けなくなり、10月には入院もした。 父は家で過ごしたいと言って、自宅介護が始まった。 余命宣告は年内もつかどうか、だったが、3月の誕生日も越えて、4月に父は身罷った。 深夜だった。 訪問看護師さんに連絡し、看護師さんから主治医に連絡してもらい、主治医から死亡診断書を受け取って、 看護師さんとエンゼルケアをした。 看護師さんはたびたび来てくださっていた方で、男性で、 深夜に叩き起こされただろうに嫌な顔ひとつせず、頑張りましたね、と父を労うように支度してくれた。 死に化粧だけはどうしても苦手で……お嬢さんが手伝ってくれないだろうか、と申し訳無さそうにいうので、 わたしは死んだ父の顔に化粧水を塗り、乳液を塗り、下地を塗ってファンデーションを塗った。 チークをほんのりいれると、寝ているだけのように見えた。 翌朝葬儀屋へ遺体を預けてから、す