第12回 溶けると黒い粒が出現 中国の大気汚染を敏感にキャッチする樹氷 文/藤田 香(日経エコロジー編集委員) 2006年12月15日 冬の蔵王の名物は純白に輝く樹氷。しかし一見白い樹氷も、溶かすと黒い粒が沈殿し、汚染が深刻化していることが山形大学の柳澤文孝教授らの調査でわかった。柳澤教授が1991年から毎冬20回樹氷の氷を採取してpHを測ったところ、95年の5.3から2005年は4.5と酸性化が進んでいることが判明。酸性化の原因は硫酸だが、それがどこから来たかは硫酸に含まれるイオウの同位体比でわかる。蔵王の樹氷の同位体比は約5‰(1‰=0.1%)と日本起源の値(2‰以下)より高い。「北京や山西省など中国北部で使われている石炭の値と一致するため、中国から季節風で運ばれてきた」と柳澤教授はみる。 同教授らは雨やエアロゾル(大気中の微粒子)でも同様の調査を実施。例えば鶴岡市で採取したエア
第34回 「中国の社会不安」の読み方――米国議会の報告書から 国際問題評論家 古森 義久氏 2006年11月14日 米国の様々な機関が中国をきわめて気になる国とみて研究や分析に努めることは、この連載コラムでも繰り返し伝えてきた。米国にとって、中国は敵とも友とも、脅威とも機会ともなりうる独特の存在なのである。もっともこうした認識は日本も同じだろう。中国とは何なのか、中国はどうなるのか ―― これは21世紀の最大の命題の一つであろう。 さてその中国から最近しきりに伝わってくる動きに社会の不安というのがある。中国の社会に波紋を広げ、政治体制を揺さぶる抗議デモ、スト、暴動などである。 例えば、以下のような実例がある。いささか旧聞に属するが、香港の各新聞が2005年4月に報道した事件である。 「4月10日、上海の南にある浙江省東陽の村で農民約4万人が暴徒化し、治安当局と激しく衝突し、約
このほど開催された「第3回中国環境と発展国際協力委員会」の第5回会議において、中国環境と発展・回顧と展望の課題チームが報告書を作成した。同報告書は「現状の経済成長と資源環境の消費動向からみて、中国の資源環境は2020年に大きな問題に直面するだろう」と指摘。大きな問題として以下の8つの分野を挙げた。 (1)エネルギーの安全保障は楽観視できない。大気汚染は日増しに悪化し、温室効果ガス排出削減の圧力が高まる。 (2)水資源の不足と浪費が問題となり、水質汚染が目立ち、水資源の過度な開発と生態系の悪化により、問題がさらに悪化する。 (3)生活ゴミ、工業廃棄物と危険廃棄物の排出が急速に増加する。 (4)生態系に対する管理機能が悪化し、絶滅の危機に瀕する種の割合が増加し、外来種の侵入により生物の多様性が激減する。 (5)室内環境汚染、オゾン汚染、水銀汚染および環境問題によっ
このブログを見て頂いて方は当然ご存知で、私は上海の近郊の江蘇省に住んでいます。 住んでいると言っても、仕事で会社の出向社員としてこの地に駐在しているのですが。 これまた皆さんご存知の通り、ここ中国は近年急激な経済発展中であります。 私が13年ほど前、最初に訪れた中国の地は、今私が良く通っている上海サーキットがある上海市嘉定区。 当時、虹橋国際空港に降りた訳ですが、すでに日が落ちており嘉定区までに約2時間。かつては高速道路も無く途中から未舗装の道路を街灯も好く点ってない道を車で時速100km/hぐらいで飛ばしていました。かなり怖い思いをして車に乗っていたのを思い出します。 その後、この地に来るたびに高速道路が延び、今では虹橋国際空港⇔嘉定区は40分もあれば十分に行き交い出来ます。私が居る街までも高速道路が出来、高速バスで上海市内まで2時間半。 この高速道路の伸びは、激しく発展する中国を象徴す
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