大西 孝弘 日経ビジネス記者 1976年横浜市生まれ。「日経エコロジー」「日経ビジネス」で自動車など製造業、ゴミ、資源、エネルギー関連を取材。2011年から日本経済新聞証券部で化学と通信業界を担当。2016年10月から現職。2018年4月よりロンドン支局長。 この著者の記事を見る
まず、そのニュースについて振り返ろう。横浜市は5月20日、4月1日現在で保育所へ入りたくても入れない「待機児童」がゼロになったと発表した。2010年には待機児童数が1500人を超え、全国ワースト1位を記録。それからわずか3年で急改善したことになる。 林文子市長は待機児童削減を掲げて2009年に初当選。待機児童対策予算を2009年度の約72億円から2010年度には約84億円に、2012年度には約157億円まで大幅に増額した。 認可保育所はこの3年間で144カ所増えた。待機児童が多い地域に新設する際の補助金の上限を増額するなどし、企業参入を促す環境作りも進めた。それによりこの3年間で株式会社や有限会社など企業による認可保育所の新設は79カ所にも上り、市内の認可保育所580カ所のうち、約3割に当たる152カ所が企業設立の保育所になった。 全国では株式会社が運営する認可保育所が全体の1.5%程度(
流れるようなフォルム、力強い足回り、精悍なマスク。アニメ『AKIRA』の世界観を彷彿させるこの未来型バイクの存在をご存知だろうか。「zecOO(ゼクウ)」と名付けられたこのマシン、実は電気で動く。中小企業のモノづくり技術を結集して組み上げた車体は、ボルトの1本1本にまでこだわりが貫かれている。価格は1000万円と超高額だが、今年秋の市販に向けて、走行テストなどが繰り返されている。今年1月、アラブ首長国連邦ドバイで開かれた展示会で、現地の富豪が購入を決めたというテレビ番組を目にした方もいるかも知れない。 コンセプトデザインを手がけたのは、znug design(ツナグデザイン)の代表を務める根津孝太氏。トヨタ自動車でデザイナーとして活躍した後、2005年に独立した。トヨタ在籍時には、数々の車体デザインを手がける傍ら、2005年の愛知万博で話題を呼んだコンセプトモデル「i-unit」を発表した
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 失語症 さて、固有名詞を忘れることが多いことは、一般的な事実だが、すでにベルクソンが失語症の症状の分析において、身体の動作を示す動詞と対比すると、固有名詞がもっとも先に失われていくことを指摘していた。これからしばらく、言葉を失っていく障害である失語症のメカニズムを考察しながら、言葉を忘れるということの意味を考えてみたい。 人間が言葉を話せるというのは驚くべき能力である。そのことは、言葉を失っていく過程とそれを取り戻していく過程を調べてみると、まざまざと実感することができる。言葉を失うというのはどのようなものか、想像できるだろうか。ぼくたちはずっと言葉を聞き、話すことになれているので、なかなか想像もつかないことだ。 言葉を失うとは たとえばまっ
ぐるりぐるりと2周するだけで、本当に動物たちの変化を感じられるのだろうか。動物園ならではの音ってどんな音なのだろうか。小猫流の見方を試すのも面白いと思いますし、自分ならではの楽しみ方を見つけたい!という気持ちで行くのもオススメです。 大事なことは、実際に足を運ぶこと、発見への好奇心をもつことです。現在、ゴールデンウィークのまっただ中。すでに予定が決まっている人も多いと思いますが、予定の中にぜひとも動物園を追加してみてください。 せっかくのゴールデンウィークですから、いつもより少しだけ足を伸ばして、これまで行ったことのない動物園を訪れてみてください。今回の話のテーマは「動物園の多様性」です。 あちこちの動物園に行けば行くほどドキドキ あちこちの動物園を巡るようになって「どこの動物園がイチバン好きですか?」と聞かれる機会が増えました。私自身も最初のうちは好きな動物園がいつか決まるものと思ってい
過酷な職場環境を背景にした人手不足などにより、日本の介護産業の未来が危ぶまれている。財団法人介護労働安定センターが昨年公開した「介護労働実態調査結果」によれば、介護事業所の50.4%は「良質な人材の確保が難しい」と回答。49.8%が「今の介護報酬では人材の確保・定着のために十分な賃金を払えない」と窮状を訴えている。そんな中、“思いもよらない方法”で、事態の改善を図ろうとしているのが、東京・両国に本社を置く日本介護福祉グループだ。同社副社長で、一般社団法人日本介護ベンチャー協会の代表理事も務める斉藤正行氏に話を聞いた。 (聞き手は鈴木信行) まずは会社紹介からお願いしたい。 斉藤:2005年設立の介護事業者だ。「茶話本舗」という屋号の小規模デイサービスを核に事業を展開している。茶話本舗は現在全国に600拠点以上あり、8~9割はFC形態での運営だ。小規模デイサービスチェーンとしては全国最大手と
健康・美容にいい油として注目され、欧米だけでなく日本の食卓にも浸透しているオリーブオイル。ところが今、このオリーブオイルの品質が危機に瀕している。 オリーブオイルを使ったことのある人なら、「エキストラバージン・オリーブオイル」という名前を聞いたことがあるだろう。「エキストラバージン」とは、そのオイルがオリーブオイルの最高グレードであることを表す言葉で、「エキストラバージン」であるための基準は、主要な生産国が加盟する国際オリーブ協会(IOC)によって決められている。 その基準を簡単に言うと、オリーブの実のみを原料に使い、機械的作業のみによってつくられ、酸化度(酸化しているほど質が低い)などの化学基準を満たし、風味に悪臭などの欠陥が一つもないこと。機械的作業というのは、つぶす、搾るなど原料に物理的な変化を加えることで、精製したもの(例えば加熱・化学変化を伴う処理)は「エキストラバージン」とは認
「こういう企画を考えているのですが、ご興味はありませんか」 パチンコホールの幹部から、そう切り出されたのは今年9月のことだった。「取材のご案内」と書かれたA4用紙のタイトルは、大きな文字でこう書かれていた。 「普段見ることのできないパチンコホールの裏側を公開」 パチンコ業は風俗営業として運営され、客は獲得したパチンコ玉を特殊景品に交換して、隣接する景品交換所で買い取ってもらい現金を得る。だが、パチンコ店が景品交換所を運営することは禁じられている。そこで、特殊景品を買い取る景品交換所や、それを仕入れてパチンコ店に卸す「卸業者」を人的・資本的につながりがないようにしなければならない。「3店方式」と呼ばれるシステムだが、この解釈を巡っては長く論争が続き、「事実上の賭博」「グレーゾーン」という指摘も聞かれる。 そこで、大手のダイナムジャパンホールディングスは、その疑惑を払拭する狙いもあって、「すべ
また1つ、大切な店が消えた。 連絡が来たとき、街は既に夕暮れ時を迎えていた。「今日中に出て行けと言われた」。都内某所にある行きつけのビストロの主人から、そうメールが入った。メディアにもたびたび登場し、ファンも多い人気店だ。10年近くの間、競争の激しい一等地で営業を続けてきた。 経営が赤字だったわけでも、契約違反があったわけでもない。ただ、スポンサー企業の業績が悪化し、急遽、店を閉めるよう言われたとのことだった。釈然としないまま、会食後、最終の電車でその店に向かった。店内では企業側の担当者や行きつけのファン、飲食店関係者らが渋面を作っていた。 荷造りには数時間を費やした。店の味を支え続けた鉄鍋やミルクパンや秤を抱えて店を出たとき、時計の針は明け方の4時を回っていた。虚脱感を覚えながら各々無言でタクシーに乗り、慣れ親しんだ店を後にした。 個人店が消えてゆく。 「先月まであった店が、今月行ったら
岸 勇希(きし・ゆうき):電通CDCクリエーティブ・ディレクター/次世代コミュニケーション開発部専任部長。東京大学講師(2011-2012)。 1977年、名古屋市生まれ。東海大学海洋学部水産学科卒業。早稲田大学大学院国際情報通信研究科修了。2004年、電通に入社。中部支社雑誌部、メディア・マーケティング局を経て、06年10月より東京本社インタラクティブ・コミュニケーション局クリエーティブ室へ。08年より現職。 広告の企画・制作に限らず、企業の商品開発や事業デザイン、空間・施設プロデュース、アーティストのプロモーションや作詞、テレビ番組の企画・制作など、幅広くクリエーティブ業務に携わる。最新の仕事に、トヨタ自動車「AQUA」キャンペーン。商業施設「東急プラザ表参道原宿」のプロデュース、「すみだ水族館」の展示演出、フジテレビ「にっぽんのミンイ」企画、演出などがある。カンヌ国際広告祭金賞をはじ
チームプレーは日本の「お家芸」とよく言われる。一人ひとりの力は小さくても、チームとして各自の役割を決め、知恵を出し合い、励まし合って取り組めば、不可能を可能にすることもできる。それこそ組織の力だ。 「日経ビジネス」は10月22日号で「奇跡を起こす すごい組織100」と題した特集をまとめ、企業や団体から復興支援やスポーツ、先端科学研究のチームまで、成果を上げているすごい組織を100事例取り上げた。この特集と連動して、「日経ビジネスオンライン」では5回にわたり、一般にはあまり知られていないすごい組織の実像を紹介する。 3回目は今や全国的な人気を誇る、ゆるキャラ「くまモン」とともに熊本県のPR活動を展開している熊本県くまもとブランド推進課を取り上げる。 「公務員」と言うと、どんなイメージをお持ちだろうか。安定志向が強く、リスクを取ることを好まない。調整重視でスピード感に欠ける。終業時刻になればい
リコーが複合機に電炉鋼板の採用を決めた。2012年中に発売する複合機から採用を始める。原則として、原料に鉄スクラップのみを使う電炉鋼板を採用する。国内の電炉最大手、東京製鉄と複合機向けに共同で開発した。事務機器では初めての採用だという。 複合機は1台当たりの重量比で50%に相当する部品で鋼材を使う。採用開始当初は、鋼材使用量の約10%、複合機全体では約5%程度を電炉鋼板に置き換える。今後も加工性や薄肉化など材料特性の改善を続けながら、使用の割合を引き上げる。 鉄鉱石を高炉で還元して生成する高炉鋼板とは異なり、電炉鋼板は使用済み鉄のスクラップを電気炉で溶融して生成する。前者は圧延性や加工性に優れるのが特徴で、家電や自動車外装材などに採用される。一方、後者は強度や硬さが特徴で、主に建材に使われる。スクラップに混入物が含まれることから、高炉鋼板のような用途には不向きとされてきた。 東京製鉄は20
2012年9月1日、フォトジャーナリストの笹本恒子さんは98歳の誕生日を迎えた。「60歳で還暦を祝うなんて早すぎるわよね。お祝いはもう少し先でもいいんじゃない?」と笹本さんは笑う。そう言うのも無理はない。笹本さんは、普通なら引退を考えそうな71歳という年齢から写真家としての人生を再スタートさせ、何度目かの「大輪」を咲かせたところだからだ。 2012年8月中旬、笹本さんは東京・蔦谷書店にいた。写真集『恒子の昭和』の出版記念ミニ・トークショーとミニ写真展が開かれたからだ。歴史上の人物や出来事を独特の構図と目線で写した傑作写真の数々を、スライドで見せながら笹本さんが解説するこのイベントには、開始の数時間前からファンが押しかけ列をなした。 ここ1年ほど毎日、メディアの取材やトークショー、講演などに引っ張りだこで、本業の撮影に取り組む暇がないのが悩みだ。「忙しすぎて、撮影の仕事をする暇がないの」。少
上木 貴博 日経ビジネス記者 2002年に筑波大学を卒業し、日経BP入社。「日経ビジネス」「日経情報ストラテジー」「日経マネー」編集部などを経て、2016年4月から現職。製造業を中心に取材中。趣味は献血(通算185回)。相撲二段。 この著者の記事を見る
この本は2009年に「Desert Flower(デザート・フラワー)」として映画化され、その翌年日本でも公開された。 私自身、ソマリアの大地を歩き、その伝統・風習に触れているだけに、この本を読んで彼女の過酷な体験を容易に想像できるものの、あの砂漠の真っ只中から這い上がり、ロンドンやミラノ、ニューヨークのトップモデルに上り詰めた彼女のバイタリティーと強運には驚愕した。 「チャンスの神には前髪しかなく、後頭部はつるつるに禿げていて、すぐにつかまないとのがしてしまう、とよく言われる。ワリスはいつも、チャンスの到来を信じて生きてきたから、すかさず前髪をつかむことができたのだろう」 訳者があとがきで述べている。確かに彼女は「運」を掴んだのだろう。しかし、その後、自らの「秘密」を暴露して、アフリカの女性のために立ち上がり、国連特別大使にまでなった姿には、彼女に与えられた「運命」が感じられる。 ワリス
日本の空が激動期を迎える2012年。日本国内では3社の日系LCC(格安航空会社)が就航する。エアアジア・ジャパンの初就航をレポートする前に、まずは3社の特徴を改めて整理しよう。 先陣を切ったのは、ピーチ・アビエーション。全日本空輸(ANA)と香港の投資会社、ファーストイースタン・インベストメントグループなどが出資し、関西国際空港を拠点とするLCCだ。初の営業就航となった3月1日には、全国から航空ファンや報道陣が初フライトに乗るために集まった。(「『空飛ぶ電車』ピーチに乗ってきた」) 現在は関空をベースに国内4路線(関空~札幌、福岡、長崎、鹿児島)、国際2路線(関空~ソウル・仁川、香港)を飛ばしている。9月からは関空~台北(桃園)路線、10月には関空~沖縄路線を新設するなど、先行者の優位性を生かして、積極的に路線網を広げている。 2番目に就航したのがジェットスター・ジャパン。日本航空(JAL
さて、観光ゴリラとして公開されているのは8つの群れで、1日に8人までの参加が認められている。毎日、最大で64人の観光客が山に入る。観察時間は1時間と決まっている。 3日間でぼくと同じ組になった人たちは、イギリスやオランダ、アメリカからの裕福な中高年のグループ、新婚旅行中のカップル、そして、雑誌の取材で来ている人たちなどだった。日本人もツアーとして毎年100人前後は訪れているらしい。ガイドの中には流暢に「こんにちは」「ありがとう」と話す人もいた。 ゴリラトレッキングは本当に人気があり、わざわざ来たものの参加枠が埋まっており参加できない人は多い。それどころか、オーバーブッキングで参加出来ず、泣き崩れる人すらいるという。そんなときくらい柔軟にやればと思うのだが、ルワンダの観光当局は、頑なに1群れ8人までというポリシーを守っている。 背景にあるのは、ダイアン・フォッシーから始まるゴリラ研究と保護の
会社員と「それ以外」の社会とのギャップを探るべく、就職活動直前の現役大学3年生たちによる「会社員ってこう見える」レポート、「若輩から一言(このコラムができた経緯はこちら)。最初のテーマはいきなり「父と娘」です。 会社員としてコミュニケーションをとる相手は、仕事にもよりますが意外に狭いもの。ある程度決まった取引先と、過去の経緯を共有していることを前提に、かなり情報量を絞り込んだ効率的なやりとりをしていることが多いのではないでしょうか。 「会社員」としての発言を繰り返しているうちに、ある意味“楽”さに慣れ、それ以外の人との話が「なんで事情を一から説明しないといけないんだろう…」と面倒になったり、言葉数を惜しんで、誤解を招いてしまう、そんな恐れもありそうです。いや、もしかしたら、家族にも、自分の子供に対しても、「会社員としての話し方」で接していたりしませんか? もちろん、会社員であるかないかを問
「うわぁ~乗りたい~! だってポロシャツにホットパンツに、長いド派手な爪のギャルがサービスしてくれるかもしれないってことだろ?」 「バカ、何言ってんだよ。逆に『え? 荷物? そっち』なんて具合に、ぞんざいな態度を取られるかもしれないんだぞ」 「『あのオヤジ、ムカつく~~』なんておしゃべりが聞こえてきたりして。これって社会人としてどうなんだよ」 「そういう飛行機もあっていいと思うけど。座席があって、目的地まで安全に運んでくれるんなら、それでいい。いろいろサービスされるのって、結構ウザイでしょ」 賛否両論あるものの、全体的には否定的な意見の方が多いような気がするのも、また事実。そう。例の事件。いやいや、事件などとは申し訳ない。5月中旬から、「スカイマークエアライン」の座席のシートポケットに入れられているという“サービスコンセプト”である。 物議を醸すスカイマークエアラインの“コンセプト” ご存
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