タグ

ブックマーク / blog.tatsuru.com (3)

  • 暴言と知性について - 内田樹の研究室

    復興相が知事たちに対する「暴言」で、就任後わずかで大臣を辞任することになった。 この発言をめぐる報道やネット上の発言を徴して、すこし思うことがあるので、それについて書きたいと思う。 松大臣が知事に対して言ったことは、そのコンテンツだけをみるなら、ご人も言い募っていたように「問題はなかった」もののように思われる。 Youtube で見ると、彼は復興事業は地方自治体の自助努力が必要であり、それを怠ってはならないということを述べ、しかるのちに「来客を迎えるときの一般的儀礼」について述べた。 仮に日語を解さない人々がテロップに訳文だけ出た画面を見たら、「どうして、この発言で、大臣が辞任しなければならないのか、よくわからない」という印象を抱いたであろう。 傲慢さが尋常でなかったから、その点には気づいたかもしれないが、「態度が大きい」ということは別に政治家が公務を辞職しなければならないような

  • 非実在有害図書 - 内田樹の研究室

    東京都青少年健全育成条例について基礎ゼミの発表がある。 「表現に対する法的規制」というものについて私は原理的に反対である。 ふつうは「表現の自由」という大義名分が立てられるけれど、それ以前に、私はここで言われる「有害な表現」という概念そのものがうまく理解できないからである。 まず原理的なことを確認しておきたい。 それは表現そのものに「有害性」というものはないということである。 それ自体有害であるような表現というものはこの世に存在しない。 マリアナ海溝の奥底の岩や、ゴビ砂漠の砂丘に、あるいは何光年か地球から隔たった星の洞窟の壁にどのようなエロティックな図画が描かれていようと、どれほど残酷な描写が刻まれていようと、それはいかなる有害性も発揮することができない。 「有害」なのはモノではなく、「有害な行為」をなす人間だからである。 全米ライフル協会は「銃が人を殺すのではない、人が人を殺すのだ」と主

  • 地球温暖化で何か問題でも? - 内田樹の研究室

    1年生のゼミで「地球温暖化」が取り上げられた。 地球温暖化を防ぐために、京都議定書の規定を守り、急ブレーキ、急発進を自制し、わりばしをやめてマイ箸を使いましょう・・・というような話を聴いているうちに既視感で目の前がくらくらしてきた。 「地球温暖化の原因は二酸化炭素の排出」と学生さんたちはすらすら言うけれど、温暖化と二酸化炭素のあいだの因果関係はまだ科学的には証明されていない。 というと、みんなびっくりする。 気象というのはきわめて複雑な現象である。 「バタフライ効果」という言葉で知られているように、北京で蝶がはばたきをしたことによる大気圧の変化が、カリフォルニアに暴風をもたらすことがある。 複雑系ではわずかな入力差に対して巨大な出力差が生じる。 この場合に「北京の蝶のはばたき」を暴風の「原因」と名づけることには無理があるだろう。 排ガスと温暖化の関係もそれに似ている。 池田清彦さんによると

  • 1