量子コンピュータの実用化に伴い生じるリスク DigiCert, Inc. Industry and Standards Technical Strategist Timothy Hollebeek (ティモシー・ホルビーク) 近年量子コンピュータの開発が進み、実用化に向けて着々と準備が進んでいる。量子コンピュータは量子力学の重ね合わせといった現象を用いて並列計算を行うため、従来のコンピュータでは時間がかかる問題を短時間で解けるのが強みだ。例えば新薬や新素材の開発、交通や気象のシミュレーションなどの領域で期待が高まっている。 同時に新たなリスクも懸念されている。暗号を解いてしまうということだ。現在よく使われているRSA暗号では、素因数分解の仕組みで暗号化されている。これまではコンピュータの性能が高まると、鍵の長さを伸ばすことで脅威とならないように安全性を確保してきた。頑張れば解けなくはないが